NHKテレビの報道によると、東京都教育委員会は25日に会見を行い、2007~08年の入試で合格点の受験生に対し、”髪を染めている””態度が悪い”と計21人を面接や小論文で減点させて不合格にしていた都立蒲田高校芝尾仁元校長(55)を「入試に対する信頼を失墜させた」とし、懲戒処分したと発表。
元校長が移動後(22年3月)に発覚し、今回、都は「不合格とされた当時の受験生に連絡し、再入学が難しい場合には賠償を含め個別に対応する」としている。
この事件が発覚した経緯については、都教委ホームページの情報によると、1年前の『平成22年3月29日(月曜日)に教育庁総務部法務監察課に都立高等学校入学者選抜の不正に関する匿名の電話が、4月2日(金曜日)に同課にファクシミリによる通報があった。内容は、平成20年度都立蒲田高等学校入学者選抜における合格者の決定に当たり、不適正な選考が行われたというものであった。』とあります。
H19、20(2007、2008)年の受験生は、昨年卒業もしくは今年高校3年生ですでに卒業式を終えています。
都教委は、芝尾仁元校長の懲戒免職処分及びこの発表を、今年度卒業式後の年度末の金曜日午後に意図的に遅らせた疑いがあります。
元校長による重大な犯罪行為はもちろんのこと、1年間にもわたって隠し続けた東京都および都教委による教育現場における人権侵害容認行為も断罪されるべきと考えます。
≪ 都教委の報道発表資料抜粋 ≫
1 事実の経過
(1) 都教育委員会は、平成18年7月、高い中途退学率等、生徒指導上の課題を解決することを目的として、都立蒲田高等学校を「エンカレッジスクール」に指定した。
エンカレッジスクールは、力を発揮できずにいる生徒を積極的に受け入れ、30分授業、体験学習などを取り入れた、いわゆる「学び直しができる」高校である。このため、入学者選抜では学力検査を行わず、面接、小論文及び実技検査により、学び直しの意欲のある生徒を入学させる選抜を行っている。
(2) 都立高等学校入学者選抜実施要綱においては、調査書点、学力検査点及び面接点等を合計した点数(総合成績)により作成した「総合成績順に並べた一覧表」を基に、総合成績の順に合格候補者を決定するとなっており、これは学力検査を実施しないエンカレッジスクールでも同じである。
しかし、芝尾仁校長(在任期間:平成18年4月~平成21年3月、現在:西部学校経営支援センター学校経営支援担当課長)は、調査書点、面接点、小論文点及び実技検査点を合計した総合成績の順に合格候補者を決定しなくてはならないにもかかわらず、エンカレッジスクールの第一期生が受検する平成19年度入学者選抜から、総合成績によらず、頭髪・服装・態度等に課題のある生徒は合格候補者にはしない方法をとることにした。
(3) 同校長は、頭髪・服装・態度等に課題のある生徒を合格候補者にしないようにするため、願書提出時や検査当日の受検者の様子を観察することを蒲田高等学校の実施要項に定め、教職員に周知した。また、同年10月以降、学校説明会や中学校訪問等の機会を通じて、中学生等に対して、頭髪・服装・態度等に課題がある場合には入学できないと説明した。
(4) 副校長(在任期間:平成16年4月~平成20年3月)は、入学願書提出日に受検者の願書提出時の様子を観察したり、検査当日に受検者の面接控室等の様子を教員から集約したりして、頭髪・服装・態度等に課題の見られた生徒の資料を作成し、同校長に提出した。
(5) 同校長は、教務担当主幹(在任期間:平成18年4月~平成19年3月)が作成した「総合成績順に並べた一覧表」の中から、同副校長が集約した資料を基にして、頭髪・服装・態度等に課題の見られた生徒を不合格者として選定した。
その後、同校長は、不合格者として選定した受検者が合格圏内に入らないよう、同教務担当主幹及び教務部所属の教諭(在任期間:平成18年4月~平成21年3月)に面接点の改ざんを指示し、面接点を改ざんした「総合成績順に並べた改ざん後の一覧表」を作成させた。
(6) 同校長は、「総合成績順に並べた改ざん後の一覧表」を基に、校内の選考委員会において合格候補者を決定するとともに、受検者の改ざん後の面接点を記載した得点表を中学校に送付した。
(7) 同校長は、平成20年度入学者選抜においても同様の方法により合格候補者を決定することとした。
同副校長は、受検者の様子を平成19年度入学者選抜と同様に集約し、同校長は、教務担当主幹(在任期間:平成19年4月~平成22年3月)が作成した「総合成績順に並べた一覧表」の中から、同副校長が集約した資料を基にして、頭髪・服装・態度等に課題の見られた生徒を不合格者として選定した。
同校長は、不合格者として選定した受検者が合格圏内に入らないよう、同教務担当主幹に面接点の改ざんを指示した。同教務担当主幹は、面接点の改ざんだけでは不合格者として選定したすべての受検者を合格圏外にできなかったため、改めて同校長の指示を受け、小論文点や実技検査点も改ざんした。
その後、同校長は、「総合成績順に並べた改ざん後の一覧表」を基に、校内の選考委員会において合格候補者を決定するとともに、受検者の改ざん後の面接点等を記載した得点表を中学校に送付した。
(8) この結果、総合成績によれば合格であるにもかかわらず、不合格とされた受検者数は次のとおりである。
推薦に基づく選抜 分割前期募集 分割後期募集 延べ人数 実人数
男 女 計 男 女 計 男 女 計 男 女 計 男 女 計
平成19年度 0 1 1 5 1 6 3 3 6 8 5 13 8 4 12
平成20年度 2 1 3 7 5 12 2 3 5 11 9 20 3 6 9
計 2 2 4 12 6 18 5 6 11 19 14 33 11 10 21