【パリ時事】
仏核安全局(ASN)のラコスト局長は14日の記者会見で、東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発の事故の深刻さについて、史上最悪とされる旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(1986年)ほどではないものの、米スリーマイル島原発事故(79年)を上回るとの見方を示した。AFP通信が伝えた。

 事故の深刻さを示す国際原子力事故評価尺度(INES)のレベルでチェルノブイリ事故は最も重い「7」、スリーマイル島事故は「5」。
ラコスト局長は会見で「日本の関係者と話した」とした上で、福島原発の事故は「おそらくレベル6にあたる感覚だ」と述べた。

 経済産業省原子力安全・保安院は12日、今回の事故について、99年9月の茨城県東海村の核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)の事故と同水準のレベル4としていた。

【専門家憂慮の声】「史上最悪の可能性」
 15日早朝に発生した福島第1原発2号機の圧力抑制プールの爆発。外部により多くの放射能物質が漏れ出ているとみられる。前日には同じ号機で原子炉圧力容器が「空だき状態」水素爆発発生の可能性が原因として指摘されるなど、専門家からは事態を憂慮する声が相次いだ。



● 小林圭二・元京都大学原子炉実験所講師(原子炉物理)の話

格納容器を持つ原発の史上最悪の事態になった可能性がある。最後の砦(とりで)ともいえる封じ込め機能が失われたと考えられるからだ。
格納容器につながる圧力抑制プール付近での爆発のような音は、①核燃料溶融で圧力容器を突き抜けて、落下して水蒸気爆発を起こした。
②何らかの構造物が落下した。
③水素爆発が起きたーーなどが考えられる。

放射能の観測データーでは、チェルノブイリ原発事故のレベルではないと思うが、被ばくという観点でもきわめて重大な事態だ。
 今まで、住民避難では後手後手になってきたが、制御できない状態なのだから、早めに広範囲の避難を指示すべきである。

● 安西郁郎・立命館大学名誉教授(放射線防護学)の話

 1時間当たり8217マイクロシーベルトという放射線量はこれまでよりも1桁近く高く以上というほかない。

現状の半径20キロ以内退避という方法は非現実的で、風向きなどを素早く情報提供し、機動的な退避計画を立てるべきだ。
また重要なのは放射性物質の分析だ。
ヨウ素131やセシウム37などが出ていれば、体内被曝に対する備えも考えたほうがいいだろう。


毎日新聞3月15日夕刊