米国務省のケビン・メア日本部長の発言が侮辱的だとして、県議会(高嶺善伸議長)が全会一致で抗議決議を可決した。委員会審議を経ず、発言が明らかになった翌日に本会議で決議するのは極めて異例。背景にはメア氏の発言が基地問題にとどまらず、「県民の尊厳が他国の外交官に踏みにじられた」との危機感にも似た強い思いが、会派を超えて共有されたことがある。市町村議会で同様の動きが広がっていることを見ても、メア氏の発言がいかに県民感情を傷つけたかを如実に示している。

 メア氏は憲法9条を盾に米軍の駐留を正当化するなど、個人の感情論を超えた高度な政策にも踏み込んでおり、米政府の対日外交観が問われるのは必至だ。

 決議に向けた流れは、発言が報道された7日の県議会各派代表者会議でほぼ固まった。

 8日の本会議前に開かれた自民党の議員総会では、報道だけを根拠に抗議決議することへの懸念や、手続きの拙速さを指摘する声も挙がったが、本会議では反対しなかった。

 発言の悪質さが議会の原則論を超えていることに加え、「もはや流れにあらがえない」(幹部)との判断が働いたからだ。

 メア氏が在沖米国総領事時代から問題発言を繰り返した経緯は議員の間でも知られており、報道内容の事実を確認するまでもなく「メア氏なら言いかねない」との共通認識が広がったことも決議を後押しした。

 与党幹部は「他国と信頼関係を築けない外交官は、いざというときに助けを得られないという教訓だ」と渋面を浮かべた。

 発言が一個人の認識ではなく、米国政府が戦後の沖縄に抱いてきた「属領意識」が見え隠れすることや、県民とともに沖縄の政治家も侮辱された、との怒りも根強い。(政経部・吉田央)

沖縄タイムス 2011年3月9日 10時06分 
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-03-09_15197/


【うるま】
うるま市議会(西野一男議長)は9日、ケビン・メア米国務省日本部長の沖縄への差別的発言について、発言の撤回と謝罪、辞任を求める抗議決議を全会一致で可決した。

沖縄タイムス(更新日:2011年03月09日 12:20)
http://blogs.yahoo.co.jp/jrfs20040729/MYBLOG/write.html


【読谷】
読谷村議会(新垣修幸議長)は9日午前、米国務省のケビン・メア日本部長の差別的発言に対する意見書と抗議を全会一致で決議した。

 意見書では「米軍統治下でさえ、これほど偏見に満ちた侮辱的な沖縄観は表明されたことがない」として、昨年同村で開かれた県民大会で示した「『普天間基地の閉鎖、撤去』の県民総意に挑戦する占領意識の表れ」と批判。発言の撤回や謝罪、日本部長職の解任を要求した。

沖縄タイムス 2011年3月9日 11時33分
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-03-09_15219/


【名護】
名護市議会(比嘉祐一議長)は9日、ケビン・メア米国務省日本部長の発言に対する抗議決議を全会一致で可決した。「米軍普天間飛行場の移設問題など日米交渉に深く関与してきた人物による差別、偏見に満ちた発言に強い怒りを覚える」と批判した。

 また、同市がゴーヤーの拠点産地であることを踏まえ、「沖縄県民は怠惰でゴーヤーも栽培できない」といった内容にも強い憤りを示した。

沖縄タイムス 2011年3月9日 10時57分
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-03-09_15217/


米国務省のケビン・メア日本部長が「沖縄はごまかしの名人で怠惰」などと発言したことを受け、県議会(高嶺善伸議長)は8日の2月定例会本会議で、「県民を愚弄(ぐろう)し、侮辱した発言にほかならず、断じて許せるものではない」と米側に強く抗議し、メア氏本人に発言撤回と県民への謝罪を求める抗議決議を全会一致で可決した。高嶺議長ら県議会代表団が10日に上京し、ルース駐日米国大使に直接手渡す方向で調整している。

 一方、那覇、浦添の両市議会と与那原町議会も発言撤回やメア氏の辞任などを求める抗議決議を全会一致で可決したほか、ほかの県内10市町村議会でも決議を予定するなど抗議は全県に広がっている。

 県議会の決議文では、「基地のない平和で安心・安全な沖縄県をつくることを切に願ってきた県民の心をまさに踏みにじるもの。到底許し難い」として、メア氏本人に発言の撤回と謝罪を要求している。

 メア氏については、同氏が在沖米国総領事を務めた2006~09年の間に沖縄への差別的言動を繰り返してきた経緯や、米国務省で米軍普天間飛行場の移設問題など日米交渉に深く関与してきたことを指摘し、「今なおこのような認識を持っていることは極めて遺憾で、決して看過できるものではない」としている。

 名護市やうるま市、北谷町、読谷村の4議会は9日に決議を予定。10日には宜野湾市、嘉手納町、座間味村の3議会、その後も渡嘉敷村、糸満市、沖縄市の3議会が抗議決議を予定している。「検討中」とした15議会も決議に前向きな姿勢を示しているほか、開会していない議会でも議員から要望が出ているという。沖縄タイムスの取材で分かった。

 うるま市議会基地対策特別委員会の宮里朝盛委員長は「占領意識丸出しの差別的発言。こういう風にしか沖縄を見ていないのかと、憤りを感じる」と厳しい口調で語った。 

沖縄タイムス 2011年3月9日 09時50分
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-03-09_15194/