【ニューヨーク山科武司】

国連総会は1日、国連人権理事会の理事国になっているリビアの資格停止決議案を全会一致で採択した。

理事国の資格停止は初めて。

採択に先立ち、潘基文(バンキムン)国連事務総長は「人道に対する犯罪者が罪を免れることはない」とリビアの現政権を非難。

避難民がリビアから周辺国に流出している現状を憂慮し、「状況を関係国と協議する特使を今週中に任命する」と述べた。

 毎日新聞 夕刊 2011年3月2日
 http://mainichi.jp/select/world/news/20110302dde007030007000c.html


 リビア:外交団「政権決別」 国連人権理事会、理事資格を停止【カイロ伊藤智永】

リビアの自国民に対する迫害を協議するため25日、緊急に開かれた国連人権理事会で、世界中の国々の代表を前に、リビアの外交団が全員でカダフィ政権との決別を宣言する劇的な場面があった。

 場所はスイス・ジュネーブの国連欧州本部。反政府デモを武力弾圧しているリビアの人権侵害を各国が糾弾し、英仏主導で、リビアが昨年から務めている理事国の資格停止と、国際調査団の設立・派遣などを協議した。

 リビアは大使以下全員が欠席したが、午後の会議の冒頭、1人の書記官が議場に現れた。死者を悼むコーラン(イスラム教の聖典)の一節を朗読。議場に起立を促して弾圧の犠牲者に黙とうをささげ、発言した。

 「我が国の若者たちは今、闘いと抵抗の歴史に自らの血で新たな一章を記しつつあります。私たちジュネーブ代表部の外交官は全員で、市民とその自由意思を代表するしかないと決断しました」

 場内は大きな拍手に包まれ、議長は「難しい決断だったでしょう」とねぎらった。

 資格停止は英仏両国の主導で提案された。 会議の冒頭、ピレイ国連人権高等弁務官は「リビアの市民への暴力は、国際法の人道に対する罪に当たる可能性がある」と述べ、最高指導者カダフィ大佐はいずれ国際刑事裁判所(本部・オランダのハーグ)で裁かれるべきだと指摘。アラブ諸国を代表してイラクが「雇い兵を使った弾圧」を非難し、イスラム諸国代表のパキスタンなどが続いた。

 中国やロシアは資格停止を渋ったが、明確に反対はできず、最後は全会一致で決議が採択された。資格停止は、同理事会の前身の人権委員会時代を含めて前例がない。

毎日新聞 2011年2月26日 20時48分(最終更新 2月26日 23時05分)
http://mainichi.jp/select/world/europe/news/20110227k0000m030037000c.html