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<転送歓迎>(重複ご容赦)
・「都教委包囲首都圏ネットワーク」・「千葉高教組」・「新芽ML」の渡部です。

 本日(2月7日)、<河原井さん、根津さんらの「君が代」解雇させない会>の早朝都庁前ビラまきがあり、17人が参加しました。
 ビラには、次のような一節がありました。
 「今年は大逆事件100年目にあたるが、こうした国家の思想弾圧に司法が率先して加担し、これを正当化してきた歴史が過去にもあり、三権分立となったはずの現在もその体質を清算していない。
 まともな一審判決を覆してまで権力に迎合した今回の判決、こうしたことの一つひとつが、言論弾圧・統制、ファシズム、戦争への道である。」

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 昨日の◎ 佐々木賢さんの講演の要旨です。


《撮影:平田 泉》

            (1)
 最初に、現在の貧困の実態を幾つかの統計で紹介してくれました。
 例えば、◆ 「就学援助対象生徒」の急増です。
  1999年には78万4000人だったのが、
  2009年には142万1000人になっています。


 ◆ 「高校求人数」の急激な減少も紹介してくれました。
  1992年には160万人だったのが、
  2009年には13万人になっています。

 2010年の◆ 15歳から34歳までの非正規雇用者比率は男子42%、女子51%です。

 2009年の仏・米・日の◆ 若年失業者は仏25%、米15%、日10%です。

 若者の貧困が深刻になっている事実が分かります。

         (2)
 次に、何時ごろから貧富の格差が進んでいるかについて、佐々木さんは、次のように述べました。
 1995年発効のマラケシュ条約(略称:WTO設立協定)以降のことだ。
 これにより、貿易の自由化、民営化が世界的に進むことになった。

 ◎ 「民営化」は英語で「privatization」というが、正確に訳すと「私物化」だ。
 これ以降「公」のものは「私物化」され、営利企業化されていった。

 例えば、給食・警備員の「民営化」などが進んだ学校などを見ると、
  1998年の◆ 義務教育費国庫負担額は、約3兆300億円だったが、
  2009年の額は、約1兆6000億円(半減)になった。

 その結果他方で、株で大儲けするものが出てきた。
 2006年日本人で、不動産を除く金融資産1億を越す人は200万人強となった。

 1974年の◆ 最高税率は75%だったが、1999年には37%まで下がり、さすがに批判が出て、2007年以降は40%になった。

 1991年の◆ 相続税の総額は、約4兆円だったが、2006年には1兆円だ。

 このように◆ 富裕層優遇策がとられてきたのだ。
 だから、税金が足りなくなったのは当然だ。

 さらに、佐々木さんは、日本社会の階層格差=民営化負担率という以下の表を示してくれ、
     人口  人口比  時給  金融資産  所得方法   民営化負担
A層  204万人  1.7% 70000円 213兆円  株・為替など     1/100
B層 2400万人 20.0%  7000円 428兆円  大企業正規・公務員 1/10
C層 7356万人 61.3%  1200円 487兆円  中小企業・職人・店員 1/4
D層 2040万人 17.0%   600円  25兆円  非正規・生活保護 1/2

 もし、超富裕層の641兆×課税不足分(70%-40%=30%)×10年間分とすると、約1920兆円となる。これで十分国債は返済できる、と述べました。

        (3)
 次に、人々を意識操作する手口について、Barnays の「民主主義の重要な要素」「支配への民衆の自発的な協力」という言葉と、以下のような手口を紹介してくれました。
 (1)感動と単純な物語、理性より感情を刺激
 (2)超富裕層・超貧困層を見せない
 (3)中産層20%の意識は、支配層意識に近く、その番頭役だ。
    教員もこの位置にいる。
 (4)敵の提示をする(例えば隣国・汚職公務員、テロリストなど)
 (5)家庭・学校・職場・地域から孤立させ、国に帰属させる。
 (6)「国益」「お国」「日本はどうなる」などの言葉で、支配を隠蔽する。
 (7)事件を個人的な責任にし、社会的背景を捨象する。
 (8)悪平等「差があって当然」という世論づくり。
    しかし、階層比較をしてみると、
    1990年に◆ 上位20%対下位20%の所得格差は10倍だったが、
    2005年には168倍になった。
以下(9)(10)は、時間の関係で略。

        (4)
 最後に、「これからの大衆運動」として佐々木さんは、短時間でしたが、次のように話してくれました。

 ◆ 「アジア最低賃金運動」というのがある。
 ここで、最低賃金(時給)を調べた。
 すると、それぞれ次のようなものだった。

 タイ(1.29ドル=約100円)、マレーシア(1.18ドル)、
 中国沿海部(1.08ドル)、中国内陸部(0.55ドル=約40円)
 インド(0.55ドル)、スリランカ(0.43ドル)、ベトナム(0.38ドル)、
 カンボジア(0.33ドル)、バングラデッシュ(0.22ドル=約17円)、であった。
 (ちなみに2010年の日本の最低賃金(都道府県ごとに決まる)で、一番低いのは、鳥取、島根、高知、佐賀、長崎、宮崎、鹿児島、沖縄の各県で、642円です。最高は東京の821円です)

 そして、国際資本は賃金の安い国に工場を作りそこから世界中に輸出している。
 例えば、ユニクロは、バングラデッシュに工場を持っている。
 これを見ても分かるように、このような状況の下で、世界中の労働者の賃金が切り下げられ、解雇されているのである。
 (だから日米欧などの先進国で若者の失業率が高くなっている)
 一方、国際資本はこうして多くの利益を得ている。

 だから国際的な労働者の連帯が必要になる。
 もし、一番低いバングラデッシュの最低賃金が上がおれば、それは大きな意味を持つことになる。
 国境問題などで労働者は騙されてはいけない。
 それはあくまでも、国際的な富裕層の利益のための争いだ。

 佐々木さんの話は、
  ①貧困層増大と格差拡大は密接に関係していること、
  ②それは富裕層に対する優遇税制や、この間の世界的な(資本に対する)「規制緩和」「自由化」、「民営化(私物化)」などによってもたらされたものであること、
  ③世界中の労働者は国際資本により搾取されていること、
 などを浮かび上がらせてくれるものでした。

 集会後、佐々木さんを囲んでの懇親会(20人余り参加)では、会の最後に期せずして、参加者一同で、国際労働歌(「インターナショナル」)を歌うことになりました。

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