▼ 中高一貫校入学選抜、都教委部長が学力検査導入を主張
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 学校教育法改定で1999年4月から設置できるようになった公立の中高一貫教育校(【注】参照)の入学者選抜について、2011年1月20日の文科省・中央教育審議会の部会で、委員の直原裕・東京都教育委員会都立学校教育部長(56歳)が国の方針に反し、学力検査(試験)導入を声高に主張した。
 中学の課程では授業料の徴収がない公立の中高一貫校は、高校入試(15歳の春)がないメリットから入学希望者が多いが、受験競争の低年齢化(12歳の春)防止のため、法改定時の衆参両院の附帯決議や学校教育法施行規則、文部省通知(98年6月当時)で、入学者選抜時の学力検査を禁じている。
 だが、2008年12月の政府・規制改革会議答申が「適性検査の名の下に、内容において学力を間うている公立の中高一貫校が全体の約8割に上り、教育委員会による違法措置が蔓延している」と、警告しているのが実態だ。


 1月20日の中教審では、委員の向山行雄・中央区立泰明小校長(全国小学校連合会会長)が「銀座にある本校は受験希望の6年生が多いが、帰宅後の平均勉強時問は5時間。就寝時間は0時を過ぎ、平均睡眠時間は6時間だ」と、受験競争の激化を告白。

 だが直原部長は、「思考力・探究心・表現力の高い子どもを入学時に選抜し、伸ばしていきたいので(都立の中高一貫校は現在)適性検査を実施しているが、『教科の内容に即した理解』も重要だから、学力検査が必要だ。学力検査を規制するのは不適切だ」と明言。改定教育基本法が盛った能力主義教育を実動化する(エリート進学校化)意向を鮮明にした。
 傍聴者らは会議終了後、「教育の機会均等に反する施策は許せない」と語っていた。
 直原部長は11年前、業績評価制度(不当な同制度を巡っては現在、世田谷区立小の大嶽昇一教諭が一審勝訴後、都教委が控訴したため、東京高裁で係争中)を導入した、都教委の“エリート”幹部だ。

【注】文科省初等中等教育企画課の小谷和浩・教育制度改革室長は、2010年12月10日の中教審初等中等教育分科会で、「中高一貫校の最新の設置数は402校」と報告している。

 『週刊新社会』(2011/2/1)

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