人事評価制度への意見書

千葉県教育委員会
教育長 鬼澤 佳弘 様    
2010年11月3日 
千葉学校労働者合同組合
執行委員長 吉田 晃 

 2010年10月22日、千葉学校労働者合同組合にFAXで「教育庁教育振興部教職員課 管理室 主任管理主事 石田 勝己」名で、「千葉県教職員の『新しい人事評価制度』の実施について」(以下「2010組合への通知」)が届きました。
  その末尾に「ご意見等がありましたら、ご連絡をください。」とありましたので、以下の意見・質問を提出します。交渉等での回答と共に、文書での回答もお願いします。

             記

1,「2010組合への通知」について
   〈課題〉の①に「評価の公正性・公平性をいかに保証していくか」となっているが、
  評価の公正性・公平性を十分に保証できてない現状で、どうして本格実施が可能なのかを 説明してもらいたい。

2,全教職員への周知徹底について
   今まで、管理職による「人事評価」の説明がほとんど行われていないが、3月までには 全教職員に「人事評価」について周知徹底すべきである。
   また、疑問点についても、ていねいに回答をするように指導すること。
   周知徹底できない状態での本格導入は行わないこと。

3,評価基準について
   実際、教職員は勤務時間をかなりオーバーして仕事をしている。全員がA評価にされて 当たり前なのに、現実はほとんどの人がB評価である。
   では一体、どうすればA評価になり、どうしたらC・D評価になるのか、評価者は明ら かにすべきだ。
   ただし、その前に、7時間45分で仕事が終わるようにすべきではないのか。恒常的に 超過勤務している状態で評価するのはおかしいのではないのか。
   また、具体的な評価基準を明らかにすべきである。

4,「人事評価制度」の相互評価について ~評価者研修用手引きP1~
   「検討に当たっては外部委員で構成する『新しい人事管理の在り方に関する懇談会』か ら幅広く意見を伺ってきました。」とあるが、この懇談会を傍聴してわかったが、「一方的 な評価ではなくて、相互評価が必要である。」という意見があった。ところが、このよう な意見は全くの無視である。自分たちに都合のいい意見だけが採用されていた。
   管理職による一般教職員の評価が必要だと考えるならば、当然、一般職員による管理職 評価が必要であると思うが意見を聞きたい。

5,「人事評価制度」の評価者について
 管理職が果たして評価者に相応しいのか。
   今の管理職は労働基準法34条さえ守れないのである。守れない場合の罰則については 労基法119条に規定されている。法律違反している管理職が果たして評価者に相応しい のか。

6,「人事評価制度」の目的について
  「『新しい人事評価精度』(ママ)の目的は、職員の能力開発、人材の育成にあります」(2 010組合への通知)としているが、真の目的は、人件費の削減にある。
   能力開発や人材育成なら給料に反映しなくてもいいし、CやDが複数回続いても指導力 不足教員とはされないはずである。目的の段階で明らかに矛盾している。能力開発や人材 の育成を行うなら、他にも方法があるはずである。
   評価制度が先に来て、目的が後に来ているのは、明らかにおかしい。反対の多い「人事 評価制度」以外を模索すべきである。

7,「人事評価制度」の責任について
   「教職員の業績評価」を実施して、問題が生じた場合や目的が達成できない時に誰がい ったい責任を取るのかが明らかにされていない。このことは、「新しい人事管理の在り方 に関する懇談会」でも意見として出されていた。
   多大なお金と労力を費やしたのだから責任をはっきりする必要があるだろう。責任も取 れないような制度は導入すべきではないだろう。もし、本格導入し、東京や大阪のように 給与に反映された場合、学校の中の人間関係(管理職と平教員、平教員同士)がギクシャ クしたり、問題のある学年や学級を持ちたくないという事態が起こったとき、誰が責任を 取るのか明確にすべきである。

8,苦情審査委員会について
   苦情審査委員会の審査員が、教育委員会内部の者だけなのは明らかにおかしい。
   評価者(管理職)の評価に対する苦情にもかかわらず、その評価者を選んだ教育委員会 の内部の者が苦情処理を行うのは明らかにおかしい。第三者機関にすべきである。

9,試行の結果について
   「業績評価」の試行を実施した結果、どうであったのかが何ら明らかにされていない。
   最低、評価を行う管理職と評価をされる教職員の意見を調査し、まとめ、公表すること が必要ではないか。

10,他都道府県の実施状況について
   「目標申告」や「業績評価」を行う時には、他都道府県の状況を必死で調べていたと思 うが、本格導入や給与に反映している他都道府県の悲惨な状況は把握しているのか。把握 していないのなら当然把握すべきである。把握しているなら、もちろん公表して、千葉県 においては、他都道府県ですでに問題になっている課題が生じないことを公言すべきだ。

以上
※ 千葉県教育委員会は、文書での回答を一貫して拒否している。交渉でも第1次回答文を 用意しながら事前には渡さない。(交渉終了後に渡すようになってきた。)
   責任ある回答(証拠)を残したくないという無責任体質が蔓延している。


 ■ 無責任な小役人ばかり 11/26文科省交渉報告

 11月26日午前11時から、全学労組(全国学校労働者組合連絡会)の文部科学省交渉がもたれ、千葉学校合同も参加した。回答者は、今回も30歳ぐらいの学校現場を知っているとは思えないキャリア?たちだった。
  全学労組は、学校労働者にとって切実な14項目の申入書を提出したが、質疑時間が回答も含めて30分しかないため、教員免許更新制度の廃止と教員の過重労働の解消の2点に絞って交渉した。
  交渉直前に「教員免許更新講習不履修、全国で5000人」の報道があり、《講習を合格していない現職教員の首を切るつもりなのか》と問いただした。 回答者は、「あくまでも研修ですので、受講してもらうよう働きかけているところです。」(要旨、以下同様)と、首切りは望んでいないような口調で答えた。 その直後、《研修なら免許失効はおかしい》との鋭い質問には、どぎまぎしたようすで、回答できなかった。 つづいて《講習を受けられずに免許が失効になると解雇なのか》との質問にも、「各地教委が判断することで、文部科学省としては言えない。」
  教育制度にも、法理にも合わない「教員免許更新制度」という無茶な法律を作ったために、矛盾を指摘されると、急に無責任になり回答をごまかすのだ。こんな連中に、日本中の学校現場が振り回されていることが、改めてはっきりと確認できた。

 過重労働の解消問題では、回答者は、当然にも「出退勤時刻の記録は、校長の職務です。」と出退勤時刻の記録の必要性と学校現場での責任者を明確に認めた。 さらに交渉団が《記録の必要性をごまかしている地教委への指導を要求》すると、「各地教委の判断に(文部科学省は)指導はできない。」などとまたもや無責任を決め込んだのだ。
  「日の丸・君が代」強制や「指導力不足教員」排除・業績評価導入など文部科学省が全国化に猛烈に圧力をかけて実現してきたことを棚に上げ、労働基準法・労働安全衛生法違反は、摘発も指導もしないというのだ! これまでの自らの無責任さを問われる事はごまかして対応しないという官僚エリートたちのご都合主義体質を実感することができた。

 全学労組・全学労連共同集会と国会デモ
  この日の午後2時からは、全学労連(全国学校事務労働組合連絡会議)と全学労組が「教育の完全無料化! 教員免許更新制廃止! 学校事務の共同実施廃止! 教職員定数の抜本的改善!」をスローガンに全国総決起集会を85名の結集で参議院議員会館で開いた。
  この日の午前中、全学労連は、文部科学省・財務省・総務省等や関係議員へ上記要求の要請行動を行っていた。
  集会は、それぞれの代表からのあいさつで始まった。その後、大阪教育合同・がくろう神奈川・北九州うい・大阪学労・アイム'89(東京)・沖縄学労から、それぞれの活動報告が熱く語られた。また、学校現場の非正規労働者も組織している全国一般神奈川労組からの連帯あいさつも受けた。
  そして、集会宣言を採択し、「団結がんばろうー」で1時間半の集会を終えた。

 午後4時からは、社会文化会館前を出発点にして「国会請願」デモを行った。3名の社民党衆議院議員(中島隆利副幹事長・吉泉秀男議員・服部良一議員)が衆議院議員面会所前で、デモ隊を出迎えてくれた。
  その後、文部科学省・財務省に、「教育の完全無料化! 教員免許更新制廃止! 学校事務の共同実施廃止! 教職員定数の抜本的改善!」などのシュプレヒコールをたたきつけ、銀座・数寄屋橋前でもアピールし、終了した。 (Y)