輸出大企業が消費税の還付を受ける一方、ほとんどの下請零細企業は価格に転嫁できず、滞納が猛烈に増えています。2000年は5979億円、滞納件数は93万件、国税全体の新規滞納額の44・5%になります。
消費税は儲からなくても、転嫁できなくても納めなくてはなりません。現実に払えず、無理をして銀行から借りて払っている事業者もいます。倒産寸前の業者が街にゴロゴロしています。保険金で払えと言われて自殺する人が絶えません。景気が悪く売り上げが落ちたといっても、売り上げがあれば、赤字でも消費税は納めなくてはならない。そういう税金です。
仮に5%を10%に上げたら日本はダメになると、斎藤貴男さんは『消費税のカラクリ』で書いています。ヨーロッパでは高い税率で底辺の中小零細企業は潰れてしまいました。イギリスでは付加価値税を入れて、シャッター通りができ、大型店だけが残りました。ヨーロッパ諸国は10%以上の高い失業率をもっており、その対策に付加価値税を上げるという悪循環に陥っています。
消費税をどうしたらいいでしょうか。10%になったら大変だから5%に止めよう、せめて食料品は非課税にしよう、国の借金を子孫に残せない、などとマスコミに煽られて、やむを得ない、必要悪と思いがちですがとんでもない間違いです。
国の借金は家の借金とよく似ています。住宅ローンが残っても家や土地は残ります。国の800兆円を超える借金も道路、鉄道、橋梁など社会資本となって残っています。だから純粋な借金は200兆円あるかないかです。資産は子や孫の時代まで残ります。ここがギリシャと違うところです。
◆ 社会保障目的の欺瞞
もう一つ、社会保障のために消費税を上げなくてはならないという考えがあります。馬鹿げた理論です。消費税を庶民にも負担させて、庶民に返すというなら、最初から取らなければいいのです。
カネにはこれは社会保障のためという印はありません。それに、社会保障費が増える分、毎年税率が上がることになります。
もとより、消費税は不公平な税です。消費税によるのではなく、あるところから取って社会保障に回すべきです。そういう意味で、消費税で社会保障をまかなうのは間違いです。
仮に社会保障に充てるのなら、輸出還付税はやめなければおかしい。社会保障のためにとる税金を輸出大企業に還付する、つまり保険料を還付するようなものです。
ですからヨーロッパ諸国で付加価値税を社会保障目的税にしている国は一カ国もないのです。
『週刊新社会』(2011/1/11)
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