施策と矛盾 石原発言
東京都の青少年健全育成条例改正問題の渦中に発せられた石原慎太郎知事の「同性愛者への蔑視発言」が論議を呼んでいる。発言は同性愛者への差別撤廃も掲げていた都の人権週間の最中に飛び出した。さらに都の姉妹都市には、同性愛者であることをカミングアウトしている首長たちもいる。トップの姿勢と施策の「二重基準」が浮き彫りになった形だ。(秦淳哉)
◆ 都事務方「コメントできない」
問題発書は今月三日と七日に出た。三日は「テレビにも同性愛者が平気で出てる。日本は野放図になり過ぎている」、七日には「(同性愛者は)どこか足りない感じがする。遺伝のせいでしょう。マイノリティーで気の毒ですよ」と語った。
この発言に対し、テレビでコラムニストのマツコ・デラックスさんが批判。NPO法人「LGBT(性的少数者)の家族と友人をつなぐ会」などが抗議文を発表した。
一連の発言時期は四日から「世界人権デー」の十日までを啓発期間とする「人権週間」とほぼ重なった。都では今年、「性的指向を理田とする差別をなくそう」「性同一性障害を理由とする差別をなくそう」など十六項目を活動強調事項に掲げ、差別撤廃をPRする活動を展開していた。
その活動に冷や水を浴びせるかのような首長の発言を行政の現場はどうとらえたのか。
都人権施策推進課の担当者は「人権啓発は従来通り、性的指向にも理解を求めてきた。知事が政治家として発言したことを事務方がコメントできるものではない」と極めて歯切れが悪い。
ちなみに七日の知事発言以降、同課にはメールや電話で十数件の抗議があったという。
一方、都は世界の十一都市と「姉妹友好都市」を締結している。このうち、パリのペルトラン・ドラノエ市長とベルリンのクラウス・ウォーウェライト市長は、ともに同性愛者であるこどを公言している。首長ではないが、ニューヨークのクリスティン・クイン市議会議長も同様で、同性愛者らのパレードに参加したこともある。
姉妹友好都市に対してあまりに無礼では、と都外務課に聞くと、担当者は「これまで各都市からは何の申し入れもない。知事発言は一般論を述べたもので、友好都市の首長らを指したとは考えていない」と、これまた苦しげな対応だった。
◆ 「染み込む差別意識」指摘も
石原知事による数々の発言はこれまでも物議を醸してきた。
二〇〇〇年四月には陸上自衛豚の記念式典で「不法入国した多くの三国人、外国人が非常に凶悪な犯罪を繰り返している」、
〇一年十一月には雑誌のインタビュー中、学者の見解を引用する形で「文明がもたらした最もあしき有害なるものはパパアなんだそうだ」と語っている。
人材育成コンサルタントの辛淑玉氏は「彼は差別的意職が体質的に染み込んでいるのでしょう。本来、政治家の役割は弱者救済。しかし、彼は一度も弱者側で生きた経験がないから、発言を批判されても、意味を理解できない」と指摘する。
しかし、政治的な“確信犯”とも。ここに辛さんは危機感を抱く。
「差別意識に乗った発言をすれば、一定の人々に受けることも計算してやっている。人間の多様性を受け止められない狭量さと差別意識は表裏一体。差別することで快感を得る人が増えているとすれば、極めて危険だ」
『東京新聞』(2010/12/21【ニュースの追跡】)
≪パワー・トゥ・ザ・ピープル!!
今、教育が民主主義が危ない!!
東京都の「藤田先生を応援する会有志」による、民主主義を守るためのHP≫
東京都の青少年健全育成条例改正問題の渦中に発せられた石原慎太郎知事の「同性愛者への蔑視発言」が論議を呼んでいる。発言は同性愛者への差別撤廃も掲げていた都の人権週間の最中に飛び出した。さらに都の姉妹都市には、同性愛者であることをカミングアウトしている首長たちもいる。トップの姿勢と施策の「二重基準」が浮き彫りになった形だ。(秦淳哉)
◆ 都事務方「コメントできない」
問題発書は今月三日と七日に出た。三日は「テレビにも同性愛者が平気で出てる。日本は野放図になり過ぎている」、七日には「(同性愛者は)どこか足りない感じがする。遺伝のせいでしょう。マイノリティーで気の毒ですよ」と語った。
この発言に対し、テレビでコラムニストのマツコ・デラックスさんが批判。NPO法人「LGBT(性的少数者)の家族と友人をつなぐ会」などが抗議文を発表した。
一連の発言時期は四日から「世界人権デー」の十日までを啓発期間とする「人権週間」とほぼ重なった。都では今年、「性的指向を理田とする差別をなくそう」「性同一性障害を理由とする差別をなくそう」など十六項目を活動強調事項に掲げ、差別撤廃をPRする活動を展開していた。
その活動に冷や水を浴びせるかのような首長の発言を行政の現場はどうとらえたのか。
都人権施策推進課の担当者は「人権啓発は従来通り、性的指向にも理解を求めてきた。知事が政治家として発言したことを事務方がコメントできるものではない」と極めて歯切れが悪い。
ちなみに七日の知事発言以降、同課にはメールや電話で十数件の抗議があったという。
一方、都は世界の十一都市と「姉妹友好都市」を締結している。このうち、パリのペルトラン・ドラノエ市長とベルリンのクラウス・ウォーウェライト市長は、ともに同性愛者であるこどを公言している。首長ではないが、ニューヨークのクリスティン・クイン市議会議長も同様で、同性愛者らのパレードに参加したこともある。
姉妹友好都市に対してあまりに無礼では、と都外務課に聞くと、担当者は「これまで各都市からは何の申し入れもない。知事発言は一般論を述べたもので、友好都市の首長らを指したとは考えていない」と、これまた苦しげな対応だった。
◆ 「染み込む差別意識」指摘も
石原知事による数々の発言はこれまでも物議を醸してきた。
二〇〇〇年四月には陸上自衛豚の記念式典で「不法入国した多くの三国人、外国人が非常に凶悪な犯罪を繰り返している」、
〇一年十一月には雑誌のインタビュー中、学者の見解を引用する形で「文明がもたらした最もあしき有害なるものはパパアなんだそうだ」と語っている。
人材育成コンサルタントの辛淑玉氏は「彼は差別的意職が体質的に染み込んでいるのでしょう。本来、政治家の役割は弱者救済。しかし、彼は一度も弱者側で生きた経験がないから、発言を批判されても、意味を理解できない」と指摘する。
しかし、政治的な“確信犯”とも。ここに辛さんは危機感を抱く。
「差別意識に乗った発言をすれば、一定の人々に受けることも計算してやっている。人間の多様性を受け止められない狭量さと差別意識は表裏一体。差別することで快感を得る人が増えているとすれば、極めて危険だ」
『東京新聞』(2010/12/21【ニュースの追跡】)
≪パワー・トゥ・ザ・ピープル!!
今、教育が民主主義が危ない!!
東京都の「藤田先生を応援する会有志」による、民主主義を守るためのHP≫