法務大臣 仙谷由人 様
 外務大臣 前原誠司 様

2010年12月6日
藤田先生を応援する会


◎ 板橋高校卒業式事件は刑事弾圧により「日の丸・君が代」を強制する権力の濫用です

 大阪地検特捜部の客観証拠改ざん事件は、検察組織の公正な捜査に国民の疑念を呼び起こすものでした。同様に、板橋高校卒業式事件では、被告側の教育庁指導主事が管理責任者に許可なく録音したICレコーダが証拠に採用され判断の大きな材料とされましたが、この音源には大きな疑惑が残っています。
 「藤田先生を応援する会」では、11月2日最高裁に対して、ICレコーダに関わる証拠を精査し慎重に審理することを要請いたしました。ICレコーダ改ざん疑惑は、11月5日付の『東京新聞』【ニュースの追跡】でも取り上げられました。
 最初に文字化された『解析書』には、「音源にない言葉」が記載されていましたが、再度出し直した『解析書』からは「音源にない言葉」がこっそり消されたということが起きています。


 (1)最初の『ICレコーダ解析一覧表』(2004/4/22作成)「何で俺が出るんだおい」の記載があった。
 (2)その言葉「何で俺が出るんだおい」は、『起訴状』(2004/12/3付)にも引用されている。
 (3)ところが、弁護団に渡された音源には、その言葉がない。
 (4)検察は「何で俺が出るんだおい」を消した『ICレコーダ解析一覧表』を再提出した(2005/1/18作成)。
 刑事裁判の厳密性から、証拠改ざんの事実をこのままうやむやにすることは許されません。

 そもそもこの事件(2004年3月11日)は、都教委による卒業式における「日の丸・君が代」強制という社会的関心事に関しての議論をめぐって起こったものです。
 ところが下級審においては、「侵すことのできない永久の権利」(11条、97条)である基本的人権よりも、校長の職務権限の方を「公共の福祉」と称して「不可侵」のように扱い藤田さんを有罪にしました。「君が代」や校長の方が「表現の自由」よりも神聖なのでしょうか?
 上告から1年半、去る5月31日に弁護団は、欧州人権専門家フォルホーフ教授の『鑑定書』を添付して『上告趣意補充書』を提出しました。教授は、国連自由権規約委員会や欧州人権裁判所の判例を数多く引用しつつ、「藤田さんの表現と情報の自由の権利に対する公権力の介入は、民主主義に対する害であり、民主主義自体を危うくするものである」と明解な結論の「意見書」を書いて下さいました。
 「表現の自由」は、民主社会の基礎をなす権利であり、人類普遍の原理です。日本は「国連自由権規約」を批准して31年になります。自由権規約委員会から国内裁判所で活用するように再三勧告を受けています。私たちは、今こそ最高裁が世界標準の人権基準で判断するよう求めています。

 (1)国際人権規約の完全批准、とりわけ「個人通報制度」の早期批准を実現して下さい。
 (2)わが国が批准して31年になる自由権規約の条文を国内の裁判でも適用してください。
 (3)自由権規約委員会最終見解(2008/10/30)パラグラフ10の勧告を受け入れ、曖昧な「公共の福祉」概念の使用による基本的人権の制限を止めてください。
 (4)検察当局によるICレコーダ改ざん疑惑を吟味し、公正な証拠に基づく判決を実現して下さい。


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