戦後最大の人権侵害「レツド・パージ60周年記念のつどい」アピール

 日弁連などの人権救済勧告をカに運動を広げ、レッド・パージの無法・不当を追及し、今こそ名誉回復・国家賠償を実現し、歴史の誤りをただそう

 六〇年前の今頃、全国の多くの職場にはレッド・パージの嵐が吹き荒れていました。一九四九年の国鉄・通信・教員をはじめとする官公庁の「行政整理」や民間の企業整備の中で日本共産党員と労働総合活動家を狙いうちにした免職・解雇に続いて、五〇年には新聞、放送を皮切りに、電力、機器、鉄鋼、造船、化学、石炭、私鉄などの企業と教員にレッド・パージ旋風が襲いかかり、二年間で推定四万人の労働者が「破壊分子」などの烙印を押されて職場から追放されました。
 レッド・パージは、アメリカ占領軍の強い示唆と助言のもと、日本政府・裁判所・企業が強行した大弾圧であり、労働組合運動の高揚、日本共産党の影響力の拡大と、国際的には民族的運動の前進を恐れた権力が、日本を「反共の防波堤」に仕立て上げるものでした。
 この結果、被害者とその家族は、経済的にも、社会的にも計り知れない損害をこうむり、自ら命を絶った人さえありました。また、国民生活の向上、自主的な経済復興、民主主義の確立、反戦・平和を要求する民主的運動は、大打撃を受けました。こうして今日見られる対米従属と大企業優先の政治への道が開かれたことは重大です。


 しかし、アメリカと日本政府、財界は、責任を認めて謝罪したことも、被害者に救済策を行ったこともありません。最高裁判所は、レッド・パージはアメリカ占領軍による「超憲法的措置」と称して、司法の独立を投げ捨て、不当解雇を認める判決を下しています。これが今日、少なからぬ職場で、思想差別が続いている根っこにもなっています。
 こうした中で、レッド・パージ被害者の名誉回復と国家賠償を求める運動は、絶え間なく続けられ、とくに最近では全国的な規模で展開されてきました。毎年取り組まれている国会請願行動、弁護士会への人権救済の申し立て、裁判闘争、レッド・パージについての学習会や知る会の開催、レッド・パージ反対組織の拡大・強化など不屈に闘われています。
 こうした運動の前進のなか、発表された二度にわたる日本弁護士連合会始め、横浜、長埼、仙台の各県弁護士会の救済勧告は、新たな転機となっています。
 これら勧告は、レッド・パージは,思想・信条の自由、法の下での平等,結社の自由を侵害するものと断じて、被害者の名誉回復と補償を含む措置を致府や最高裁、企業、県知事に勧告しました。とりわけ、日本弁護士会の勧告は、救済を訴えた被害者にとどまらずレッド・パージ被害者すべての救済を求めるなど極めて画期的な内容となっています。レツド・パージの無法性、不当性は、これらの勧告によっていよいよ明らかになり、問題解決の条件はますます高まっているといって過言ではありません。

 こうしたとき、私たちは、今日、「戦後最大の人権侵害ーレッド・パージ六〇周年のつどい」を開き、今こそ名誉回復・賠償を実現することによって歴史の誤りをただし、この教訓を次世代へ継承するとの決意を固め合いました。また、レッド・バージによって損なわれた基本的人権を取り戻すため、人権確立と民主主義を求める全ての人々と連帯・協力・共同を強めることを確認しました。
 私たちの一致した要求は次の通りです。
 一、 国は、レッド・パージが無法、不当な人権侵害行為であったことを認め、被害者に謝罪すること。
 一、 国は、日本弁護士連合会と各県弁護士会の救済勧告に従い、すべてのレッド・パージ破害者への名誉回復と国家賠償を速やかに行うよう特別法を制定すること。
 私たちは,この要求が多くの国民の支持を得られるものと確信し、さらに連帯を強め、兵庫・国賠訴訟勝利をはじめ要求の実現に向けて、運動を広げることを、「つどい」の名において誓うものです。

             2010年12月11日 

          戦後最大の人権侵害「レツド・パージ60周年記念のつどい」



【資料:日弁連の2度目の勧告】

 日弁連総第56号
 2010年(平成22年)8月31日

 内閣総理大臣 菅 直 人 殿

                       日本弁護士連合会
                       会長 宇都宮 健 児
 勧 告 書

 当連合会は,別紙申立人等目録記載の各申立人からなされた人権救済申立事件について調査した結果,次のとおり勧告します。

 第1 勧告の趣旨

 申立人らは,別紙申立人等目録記載の勤務先から,同目録記載の年月日に解雇され,又は免職若しくは退職勧告の処分を受けた者であるが,これら解雇,免職及び退職勧告の措置は,いわゆる「レッド・パージ」として申立人らが共産党員又はその同調者であることを理由になされたものと認められる。
 これは,申立人らの思想・良心の自由及び結社の自由を侵害するとともに同人らを処遇上差別した重大な人権侵害行為であった(日本国憲法19条・21条1項・14条1項,世界人権宣言2条1項・7条・18条・20条1項)。
 申立人らは,これら解雇等の措置によって,申立人らに非があるかのように取り扱われてその名誉を侵害されたばかりでなく,生活の糧を失うことによって苦しい生活を強いられるなど,生涯にわたる著しい被害を被ってきた。
 このような人権への侵害は,当時わが国が連合国最高司令官総司令部(GHQ)の占領政策の下にあり,GHQの指示や示唆があったとはいえ,いかなる状況下においても許されるものではないばかりでなく,当時から日本政府も自ら積極的にその遂行に関与し,又は支持して行われたものであると認められ,さらに1952年に平和条約が発効した後は,日本政府として申立人らの被害回復措置を容易に行うことができたにもかかわらず,今日までこれを放置してきたのであって,これらに対する国の責任は重い。
 よって当連合会は,国に対し,申立人らが既に高齢であることを鑑みて,可及的速やかに,申立人らの被った被害の回復のために,名誉回復や補償を含めた適切な措置を講ずるよう勧告する。

 第2 勧告の理由

 別紙「調査報告書」記載のとおり。

≪パワー・トゥ・ザ・ピープル!!
今、教育が民主主義が危ない!!
東京都の「藤田先生を応援する会有志」による、民主主義を守るためのHP≫
 http://wind.ap.teacup.com/people/4700.html