★「授業してたのに処分」事件・都人事委員会第2回審理傍聴者の声【2010・11・22】

 ◎ 教育の破壊者は、都教委だ!
 
*本日の尋問証人:①藤森教悦(元教育庁人事部職員課長)、② 福嶋常光(請求人・処分時福生高校)


「人事委審理室」 《撮影:平田 泉》

*「こんな素朴で良い先生を退職に追い込んでいる都教委は、なんと愚かなのだろうかと、つくづく思いました。
 『教育は生徒のためにあるものだから、授業が最も大事なはず、校長だって、日頃からそう言ってきた。5時間も授業を潰して、なぜ、再発防止研修を優先させなければならないのか、校長が研修センターに研修の指定日の変更を求めたのに、なぜそれが認められないのか』
 この素直で、当然の疑問を、福島先生は、ずーっと持ち続けていただけなのだということがよく分かりました。
 研修の必要性について、疑問には思っていたけれど、日程変更された日に研修を受けるつもりで、研修課題の回答も提出していた。そして、福島先生は、研修課題に出されている資料が不十分だと考え、研修の講師の人には、その事について質問しようと、まじめに考えてるような素直で素朴な先生でした。


 都教委側の弁護士が福島先生に、高飛車に追及しました。
 『あなたね、裁判所に、研修の執行停止を求めて、裁判所に却下されたんだから、都教委から日程変更はできないと伝えられて、職務命令が校長から出されているんだから、この日に行かなければ、処分されるくらいの予想はしていたでしょ!』
 都教委側は、福島先生は処分されるのが分かっていながら、再発防止研修を拒否した強者であると言いたいようでした。でも、福島先生を、その場で傍聴していれば、誰にでも分かったと思います。そんな強者でも、戦闘的な闘士でもありません。

 『でも、授業が大事でしょ、裁判長は忙しすぎて、現場の状況なんか、見る余裕もないのかな?と思いました』
 この淡々とした口調で福島先生は答えていました。福島先生の頭の中では、自分がどうなるかという不安よりも、『なぜ、学校にとって一番大事であるはずの授業が優先されないのだろうか』という疑問の方が優先されていたのです。
 すばらしい、理科の先生らしいタイプの方だと私は思いました。

 例えば、実験して失敗すると、『なぜかなー?おかしいなー?じゃあ、もう1回やってみようか』そう言って、予定時間のスケジュールがオーバーしても、もう一度やってみるというタイプの方です。そういう探求心と精神的なゆとりがなければ、生徒は育ちません。
 例えば、生徒が事件を起こしたとき、『なぜ、あの子はそんな事をしたのかなー?なぜかなー?やっぱり、もう一度彼に聞いてみよう』どんな生徒にも、予見を持たず、いつも素直な気持ちで、生徒に聞いてみるというタイプの方だと思います。
 なぜ?という疑問は、ずーっと追究し続けなさい。権威や権力に誤魔化されることなく、自分の持った疑問は、自分で納得がいくまで、追究し続けることが大事なのだと、教育現場では生徒に言い続けています。
 生徒に説教することを、素直に、自分で実践しようとしなければ、生徒は先生にはついていきません。テストで良い点が取れれば、それでよしと考えるだけの関係にしかなりません。

 『あの先生、変わっているね』と生徒に言われるほど、抱いた疑問の追究に素直な教師の存在が、教育現場には必要です。
 都教委は、こんなタイプの先生に圧力をかけて、退職に追い込んでしまった。本当に学校教育の破壊者です。」  (M・K 原告退職者)

*「都側の弁護士は知識人とは思えません。命令口調で問い糾しています。私がわかったことは、この都側に人たちは、子どの教育よりも教職員を処分することが最大の目的だ・・・。」 (E・K 市民)

*「福嶋先生の実直さと、処分者側の傲慢さの対比がよく分かる審査であった。授業より命令を優先する体質がよくわかった。」 (K・S 市民)

*「藤森証人は、『信用失墜行為』は、どの時点で、誰に対して発生したのか、の質問に具体的に答えられなかった。専門研修の時間帯に『授業を行っていたこと』は、『信用失墜』なのか、と問われたことにも答えられなかった。生徒のことや授業のことが視野に入らない教育行政はサイテーだ。」 (K・H 原告)

 <ヒゲメモ>
 教師にとって、授業こそ大事だ。何とか、授業に影響の出ない日に「研修」をとの、素朴な要望を、「職務命令」を出させての過酷な処分。まっとうな教師をつぶす都教委の異常、異様さを明らかにした審理でした。
 (請求人・代理人9名。 傍聴者41名。感謝。 星野)