★ 国旗国歌の強制を問う
「予防訴訟」控訴審が結審 判決は来年の年明けか
東京都教育委員会が、卒業式や入学式で教職員が国旗に向かって起立し、国歌を斉唱するよう義務付けた通達を行ったのに対し、都立学校の教職員ら397人が、通達に従う義務がないことなどの確認を求めた、いわゆる「予防訴訟」の控訴審が10月26日、東京高裁で結審した。
一審東京地裁での原告側の全面勝利から4年。控訴審での計5回にわたる審理が締めくくられた。原告側弁護士によると、判決は来年の年明けにも下される可能性がある。
■ 現代の「恐怖政治」
「2003年の通達を受けた翌年から、卒業式はフロア形式から、日の丸を掲げた壇上を正面とし、全員が正面に向かい、手作りの装飾は禁止となった」「通達以後、子供を主人公とした卒業式はできなくなってしまった」
原告側の3人の意見陳述の最初に話したのは、障害児学校を長年担当し、09年3月に定年退職をした日暮かをるさん(61)。七生養護学校「こころとからだの学習」裁判の原告代表でもある。
「通達やその運用によって、私の39年に及ぷ教員生活の中で、自分の根っことして持ち続けてきたものを失ってしまうと感じている。私が教員として出会った子供たちは、ハンディを抱えながら、どの子も心の奥底では、人間としてよりよく生きたいとの願いを強く持っていた。教育に対する不当な支配・介入を絶対に許さない判決を改めて出していただけるよう切望します」と、一瞬、涙で声を詰まらせながらも力強く訴えた。
※http://wind.ap.teacup.com/people/4585.html<陳述全文リンク>
続く牧野理恵さん(47)は、養護学校での経験のほか、クリスチャンとしての立場から通達が信教の自由を侵害するものであることを陳述。
車いすに長い時間座っていると呼吸が困難になる生徒のためには、会場に体育用のマットを敷いていたが、通達により、それもできなくなるなど、卒業式は在校生にとって不安と苦痛の場になってしまったこと、国歌斉唱にあたって起立をしながら、心と体がバラバラになって崩れていくような気がしたこと、クリスチャンとしてキリストに従うことと、教育公務員として通達に従うことは両立できないと思い、退職まで考えたことなどを裁判官や傍聴者に語りかける事に話した。
※http://wind.ap.teacup.com/people/4590.html<陳述全文リンク>
3人目の加藤良雄さん(60)は、来年3月の定年退職を前に、定時制高校での体験を中心に述ぺた。
通達後に初めて迎えた卒業式を「都教委から派遣された職員は校長よりも前の席に陣取り、あいさつの時は原稿棒読みするだけだった。心が凍りつくような雰囲気に、違和感、不快感を持った生徒も多かっただろう」と振り返った。
「通達以降、あきらめと委縮と無力感が現場を覆いつつある。教育とは無縁であるべき、上意下達と職務命令体制が作り出した現代の『恐怖政治』だ。処分を背景に毎年起立を強制され、いすの位置一つ決めるのにも都教委にお伺いを立てなければならない。これが教育か」と静かにこみ上げる憤りを抑えるように語った。
※http://wind.ap.teacup.com/people/4591.html<陳述全文リンク>
■ 一審は賠償命令
都教委は03年10月23日に、都立学校の各校長に対して、卒業式や入学式で教職員らが国旗に向かって起立し、国歌を斉唱することなどを適正に行うよう通達した。
予防訴訟は、起立斉唱を強制されることは思想・良心の自由などを侵害するとして処分の事前差し止めを求め、一審の東京地裁は06年9月21日、「通達と一連の指導は教育の自主性を侵害する不当な支配にあたるもので違法。教職員の思想・良心の自由の制約になる」との判断を下し、慰謝料として一人あたり3万円の賠償を都に命じた。
控訴審でも、通達が旧教育基本法10条にいうところの「不当な支配」にあたるか、憲法19条の「思想・良心の自由」に反しないかに加え、憲法20条の「信教の自由」への違憲性などが問われている。
都教委側は、控訴審の中で、校長ら8人と通達を発出した当時の教育庁の指導部長と職員課長による陳述書を提出。「職員会議での抵抗などにより、卒業式や入学式の儀式で、学習指導要領に基づく適正な実施が行われない実態があったため、通達を出した。学校管理機関として許容される範囲内の通達であり、不当な支配にはならない」などと主張してきた。
「君が代」を巡る訴訟では、ピアノ伴奏を拒否した教員への処分は憲法19条に反しないとする最高裁判決が07年2月に出ている。この事案は通達前の処分で、通達関連訴訟とは性質が異なるが、その後の通達関連訴訟の高裁での判決は原告教員らの敗訴が続いている状況にある。
『都政新報』(2010/11/2)
≪パワー・トゥ・ザ・ピープル!!
今、教育が民主主義が危ない!!
東京都の「藤田先生を応援する会有志」による、民主主義を守るためのHP≫
「予防訴訟」控訴審が結審 判決は来年の年明けか
東京都教育委員会が、卒業式や入学式で教職員が国旗に向かって起立し、国歌を斉唱するよう義務付けた通達を行ったのに対し、都立学校の教職員ら397人が、通達に従う義務がないことなどの確認を求めた、いわゆる「予防訴訟」の控訴審が10月26日、東京高裁で結審した。
一審東京地裁での原告側の全面勝利から4年。控訴審での計5回にわたる審理が締めくくられた。原告側弁護士によると、判決は来年の年明けにも下される可能性がある。
■ 現代の「恐怖政治」
「2003年の通達を受けた翌年から、卒業式はフロア形式から、日の丸を掲げた壇上を正面とし、全員が正面に向かい、手作りの装飾は禁止となった」「通達以後、子供を主人公とした卒業式はできなくなってしまった」
原告側の3人の意見陳述の最初に話したのは、障害児学校を長年担当し、09年3月に定年退職をした日暮かをるさん(61)。七生養護学校「こころとからだの学習」裁判の原告代表でもある。
「通達やその運用によって、私の39年に及ぷ教員生活の中で、自分の根っことして持ち続けてきたものを失ってしまうと感じている。私が教員として出会った子供たちは、ハンディを抱えながら、どの子も心の奥底では、人間としてよりよく生きたいとの願いを強く持っていた。教育に対する不当な支配・介入を絶対に許さない判決を改めて出していただけるよう切望します」と、一瞬、涙で声を詰まらせながらも力強く訴えた。
※http://wind.ap.teacup.com/people/4585.html<陳述全文リンク>
続く牧野理恵さん(47)は、養護学校での経験のほか、クリスチャンとしての立場から通達が信教の自由を侵害するものであることを陳述。
車いすに長い時間座っていると呼吸が困難になる生徒のためには、会場に体育用のマットを敷いていたが、通達により、それもできなくなるなど、卒業式は在校生にとって不安と苦痛の場になってしまったこと、国歌斉唱にあたって起立をしながら、心と体がバラバラになって崩れていくような気がしたこと、クリスチャンとしてキリストに従うことと、教育公務員として通達に従うことは両立できないと思い、退職まで考えたことなどを裁判官や傍聴者に語りかける事に話した。
※http://wind.ap.teacup.com/people/4590.html<陳述全文リンク>
3人目の加藤良雄さん(60)は、来年3月の定年退職を前に、定時制高校での体験を中心に述ぺた。
通達後に初めて迎えた卒業式を「都教委から派遣された職員は校長よりも前の席に陣取り、あいさつの時は原稿棒読みするだけだった。心が凍りつくような雰囲気に、違和感、不快感を持った生徒も多かっただろう」と振り返った。
「通達以降、あきらめと委縮と無力感が現場を覆いつつある。教育とは無縁であるべき、上意下達と職務命令体制が作り出した現代の『恐怖政治』だ。処分を背景に毎年起立を強制され、いすの位置一つ決めるのにも都教委にお伺いを立てなければならない。これが教育か」と静かにこみ上げる憤りを抑えるように語った。
※http://wind.ap.teacup.com/people/4591.html<陳述全文リンク>
■ 一審は賠償命令
都教委は03年10月23日に、都立学校の各校長に対して、卒業式や入学式で教職員らが国旗に向かって起立し、国歌を斉唱することなどを適正に行うよう通達した。
予防訴訟は、起立斉唱を強制されることは思想・良心の自由などを侵害するとして処分の事前差し止めを求め、一審の東京地裁は06年9月21日、「通達と一連の指導は教育の自主性を侵害する不当な支配にあたるもので違法。教職員の思想・良心の自由の制約になる」との判断を下し、慰謝料として一人あたり3万円の賠償を都に命じた。
控訴審でも、通達が旧教育基本法10条にいうところの「不当な支配」にあたるか、憲法19条の「思想・良心の自由」に反しないかに加え、憲法20条の「信教の自由」への違憲性などが問われている。
都教委側は、控訴審の中で、校長ら8人と通達を発出した当時の教育庁の指導部長と職員課長による陳述書を提出。「職員会議での抵抗などにより、卒業式や入学式の儀式で、学習指導要領に基づく適正な実施が行われない実態があったため、通達を出した。学校管理機関として許容される範囲内の通達であり、不当な支配にはならない」などと主張してきた。
「君が代」を巡る訴訟では、ピアノ伴奏を拒否した教員への処分は憲法19条に反しないとする最高裁判決が07年2月に出ている。この事案は通達前の処分で、通達関連訴訟とは性質が異なるが、その後の通達関連訴訟の高裁での判決は原告教員らの敗訴が続いている状況にある。
『都政新報』(2010/11/2)
≪パワー・トゥ・ザ・ピープル!!
今、教育が民主主義が危ない!!
東京都の「藤田先生を応援する会有志」による、民主主義を守るためのHP≫