『都政新報』【都政の東西】
★ 教育に自由を
都立学校の教育現場で息苦しさが増している。業績評価制度の導入など、現場が感じているプレッシャーは多いが、中でも、教職員にとって大きな心理的負担となっているのが、卒業式や入学式での国旗・国歌の問題だ。
2003年10月23日に都立学校の校長あてに出されたいわゆる「10・23通達」は、教職員が国旗に向かって起立し、国歌を斉唱することを求め、通達に基づいた校長の職務命令に従わない場合は服務上の責任を問うことを教職員に通知することも同時に求めた。
通達から7年がたち、職務命令違反による処分者は延ぺ400人を超え、関運訴訟は21件が係争中だ。
起立斉唱の強制は不当な支配であり、憲法19条の思想・良心の自由なども侵害するとして、処分の差し止めを求めた「予防訴訟」が東京高裁で結審したが、法廷で意見陳述する原告の教職員らから聞こえてきた声は、悲鳴にも近いものだった。
原告の一人は、「喜びであるはずの卒入学式が来るたびにノイローゼのようになる」と訴えた。「異常な締め付けの中で心身のバランスを崩し、今の都立高校に絶望して教壇を去っていく人が絶えない」という。
精神科医の野田正彰氏は著書の中で、「君が代症候群」と呼び、職業倫理を理不尽に否定する精神的な角荷であると指摘している。
ことは教職員にとどまらず、生徒への影響も懸念される。教職員の起立は生徒にも起立への無言の圧力となる。「生徒の自主的判断を許さず、最も大切にしなくてはいけない生徒の心を踏みにじることにつながっている」と憤る教職員は多い。
今の都立学校には、最も大切な自由が欠けているのではないか。
『都政新報』(2010/11/2【都政の東西】)
★ 教育に自由を
都立学校の教育現場で息苦しさが増している。業績評価制度の導入など、現場が感じているプレッシャーは多いが、中でも、教職員にとって大きな心理的負担となっているのが、卒業式や入学式での国旗・国歌の問題だ。
2003年10月23日に都立学校の校長あてに出されたいわゆる「10・23通達」は、教職員が国旗に向かって起立し、国歌を斉唱することを求め、通達に基づいた校長の職務命令に従わない場合は服務上の責任を問うことを教職員に通知することも同時に求めた。
通達から7年がたち、職務命令違反による処分者は延ぺ400人を超え、関運訴訟は21件が係争中だ。
起立斉唱の強制は不当な支配であり、憲法19条の思想・良心の自由なども侵害するとして、処分の差し止めを求めた「予防訴訟」が東京高裁で結審したが、法廷で意見陳述する原告の教職員らから聞こえてきた声は、悲鳴にも近いものだった。
原告の一人は、「喜びであるはずの卒入学式が来るたびにノイローゼのようになる」と訴えた。「異常な締め付けの中で心身のバランスを崩し、今の都立高校に絶望して教壇を去っていく人が絶えない」という。
精神科医の野田正彰氏は著書の中で、「君が代症候群」と呼び、職業倫理を理不尽に否定する精神的な角荷であると指摘している。
ことは教職員にとどまらず、生徒への影響も懸念される。教職員の起立は生徒にも起立への無言の圧力となる。「生徒の自主的判断を許さず、最も大切にしなくてはいけない生徒の心を踏みにじることにつながっている」と憤る教職員は多い。
今の都立学校には、最も大切な自由が欠けているのではないか。
『都政新報』(2010/11/2【都政の東西】)