文部科学省は児童生徒の自殺防止対策作成のため、全国の国公私立の小中高校に対し、自殺と疑われる事案が発生した場合、事実関係を記入した報告書を直接文科省に提出させる方針を決めた。10年度中に調査項目などを具体的に検討し、導入時期を決める。同省が各都道府県教委を通じずに調査報告を求めるのは極めて異例。23日には群馬県桐生市で小学6年の女子児童がいじめとみられる原因で自殺しており、高木義明文科相も「早急に児童生徒の自殺対策を講じる必要がある」と発言している。【篠原成行】
◇件数、警察庁調査と大差
文科省は、これまでも児童生徒の自殺について、毎年度末に各教委を通じて調査を実施してきた。それによると、87年度に自殺者が200人を切った後、09年度まで103~192人の間で増減を繰り返している。
しかし、警察庁の調査では09年の少年(19歳以下)の自殺者は565人で、03~08年の自殺者も548~623人で推移するなど、文科省の調査を大幅に上回っている。保護者の意向で、教委が「自殺」としての報告を見送るなどのケースもあり、文科省は「文科省調査には実態が反映されていない可能性が高い」と判断。全国の約3万9000校の小中高校に対し、「自殺の疑いも含め、すべての事案を発生1カ月以内に報告」させる方針を決めた。
これまでの調査では、自殺原因の特定を求めていたため、原因を「不明」とする回答が約7割を占めていた。新調査では原因を「学校的背景」「家庭的背景」「個人的背景」に区分。それぞれ「いじめの問題」「保護者の離婚」「身体の病気」など、計50項目程度を設けて複数回答を可能とし、実態に近い原因を探って対策につなげる。
同省児童生徒課は「子どもの自殺についての調査は『保護者や同級生に余計な動揺を与える』とタブー視されてきたが、本腰を入れて予防に取り組まなければならない状況にある」としている。
児童生徒の自殺は、最近に限っても桐生市のほかに▽8月に大阪府高槻市の小学3年の女子児童(8)▽9月に愛知県瀬戸市の中学3年の男子生徒(14)▽10月に北九州市の中学2年の女子生徒(14)など、全国で起きている。
毎日新聞 2010年10月28日 東京夕刊
http://mainichi.jp/life/edu/archive/news/2010/10/20101028dde041010036000c.html
◇件数、警察庁調査と大差
文科省は、これまでも児童生徒の自殺について、毎年度末に各教委を通じて調査を実施してきた。それによると、87年度に自殺者が200人を切った後、09年度まで103~192人の間で増減を繰り返している。
しかし、警察庁の調査では09年の少年(19歳以下)の自殺者は565人で、03~08年の自殺者も548~623人で推移するなど、文科省の調査を大幅に上回っている。保護者の意向で、教委が「自殺」としての報告を見送るなどのケースもあり、文科省は「文科省調査には実態が反映されていない可能性が高い」と判断。全国の約3万9000校の小中高校に対し、「自殺の疑いも含め、すべての事案を発生1カ月以内に報告」させる方針を決めた。
これまでの調査では、自殺原因の特定を求めていたため、原因を「不明」とする回答が約7割を占めていた。新調査では原因を「学校的背景」「家庭的背景」「個人的背景」に区分。それぞれ「いじめの問題」「保護者の離婚」「身体の病気」など、計50項目程度を設けて複数回答を可能とし、実態に近い原因を探って対策につなげる。
同省児童生徒課は「子どもの自殺についての調査は『保護者や同級生に余計な動揺を与える』とタブー視されてきたが、本腰を入れて予防に取り組まなければならない状況にある」としている。
児童生徒の自殺は、最近に限っても桐生市のほかに▽8月に大阪府高槻市の小学3年の女子児童(8)▽9月に愛知県瀬戸市の中学3年の男子生徒(14)▽10月に北九州市の中学2年の女子生徒(14)など、全国で起きている。
毎日新聞 2010年10月28日 東京夕刊
http://mainichi.jp/life/edu/archive/news/2010/10/20101028dde041010036000c.html