日弁連が、日本から貧困の連鎖をなくしていくために4月から貧困問題対策本部をたちあげて全国で活動し20日、参議院議員会館の講堂で「子どもの貧困の根絶に向けて」~子どもの貧困率の公表から1年・日弁連からの提言~と題して集会を開催ました。
今月7・8日に盛岡で開催された日弁連人権擁護大会で、国と地方自治体に対して、子どもの貧困の実態調査、貧困対策の策定などの諸方策の実施を求め「貧困の連鎖を断ち切り、すべてのこどもの生きる権利、成長して発達する権利の実現を求める決議」を採択しています。
このことをふまえて、日弁連の宇都宮健児会長(写真)が「こども自身は生まれる場所も家庭も選ぶことができない。孤立している子どもが増えている中で、こどもの視点から見ていかないといけない。こどもには人間らしく発達し、幸せになる権利がある。ヨーロッパでは社会全体でこどもを守っていく姿勢があるが日本は違う。個々の家庭の責任としてきたのが政府の政策だ。民間の側でも手をさしのべるような社会ずくりが必要であり、引き続きご理解・ご協力、そして日弁連と一緒に頑張っていきましょう。」とあいさつ。
貧困率を公表してから1年を迎える今日、日弁連は政府に対して、あらためて人権大会の決議の施策の実施を求め、こどもはもとより、男女別、年齢別、就業形態別、国籍別などのより詳細な類型別の貧困率調査の結果を公表し、これらの類型別の実態調査を通じて貧困の原因を探り、具体的期限を定めた貧困率の削減目標を設定して、その目標を達成するために、労働、社会保障、教育などの分野における総合的かつ具体的な計画を策定し実施することを求めると報告しました。
日本における子どもの貧困の状況について、沖縄の大井琢弁護士が報告し、高知の中島香織弁護士がイギリスやデンマーク、スゥェーデン・ドイツなど海外の取り組みの調査結果を報告し、千葉の伊東達也弁護士が、こどもの貧困根絶に向けて提言しました。
国会議員は、宮本岳議員、首藤信彦議員、熊谷議員、福島みずほ議員、橋本ひろあき議員があいさつし、このほかにも多くの議員が駆けつけ参加しました。
当会、言論・表現の自由を守る会からは事務局長が参加し”10・23学校に自由を!集会”のチラシを配布し、この10年間の活動経験から、こどもの貧困問題に取り組む際に、こどもの権利条約と国連こどもの権利委員会からの勧告を活用することの重要性について発言しました。