日弁連は、2010年10月5日付けで、冤罪防止を目的とする検察組織及びその捜査の在り方に関する第三者検証機関の設置についての申入書をとりまとめ、法務大臣に提出しました。(下記全文)
1.本申入書の趣旨1.冤罪防止を目的とする、検察組織及びその捜査の在り方に関する第三者検証機関を設置されたい。
2. 前項の検証機関において、取調べの可視化(取調べの全過程の録画)及び検察官手持ち証拠の全面開示をはじめとする冤罪防止策の導入について、今般の大阪地方検察庁特別捜査部による郵便不正事件の誤起訴及び証拠の改ざん事件の検証結果を踏まえた、積極的且つ迅速な検討を行わせることとされたい。
3. 第1項の検証機関は、検察庁から独立した第三者的立場の外部有識者のみによって構成することとし、日弁連が推薦する弁護士もこれに含められたい。
日弁連総第65号
2010年(平成22年)10月5日
法務大臣柳田稔殿
日本弁護士連合会
会長宇都宮健児
冤罪防止を目的とする検察組織及びその捜査の在り方に関する第三者検証機関の設置について(申入れ)
申入れの趣旨
1 冤罪防止を目的とする,検察組織及びその捜査の在り方に関する第三者検証機関を設置されたい。
2 前項の検証機関において,取調べの可視化(取調べの全過程の録画)及び検察官手持ち証拠の全面開示をはじめとする冤罪防止策の導入について,今般の大阪地方検察庁特別捜査部による郵便不正事件の誤起訴及び証拠の改ざん事件の検証結果を踏まえた,積極的且つ迅速な検討を行わせることとされたい。
3 第1項の検証機関は,検察庁から独立した第三者的立場の外部有識者のみによって構成することとし,当連合会が推薦する弁護士もこれに含められたい。
申入れの理由
今般の大阪地方検察庁特別捜査部の検事による証拠物のデータ改ざん事件は,司法に対する信頼を著しく傷つける,前代未聞の事態である。当連合会は,本事件の発覚を受けて,本年9月22日付けで「厚生労働省元局長事件における証拠の改ざん事件の真相解明を求める会長声明」を公表し,本件についての徹底した真相解明が,それにふさわしい組織によって,適切な方法で遂行され,このような誤った捜査が二度と生ずることのないよう,取調べの可視化(取調べの全過程の録画)及び検察官手持ち証拠の全面開示などの冤罪防止策を講じることを求めているところである。
しかしながら,これらの課題について,検察庁の内部組織による捜査,調査及び検証が行われるだけでは,その公正さに疑いを差し挟まざるを得ず,深く傷つけられた司法に対する信頼を回復することは極めて困難であるし,その結果が検察組織及びその捜査の在り方の十分な改革に結びつくものとは到底思われない。
過日貴職が,検察組織や捜査の在り方について第三者による検証を行う機関の設置を検討する考えを表明しておられることは,当連合会が懸念するところと軌を一にするものと考える。
したがって,本件の徹底した真相解明と,このような事態を二度と招来しないための検察組織及びその捜査の改革のためには,弁護士を含む外部有識者のみにより構成される検証機関が設置され,そこで厳格な検証が行われることが必要不可欠である。また,その人選が身内である法務省及び検察庁により恣意的に決定されないことも極めて重要であり,弁護士については当連合会の推薦によるものとすべきである。
なお,当連合会は,本年3月18日付けで「『誤判原因を究明する調査委員会』の設置を求める意見書」を採択し,千葉法務大臣(当時)にその趣旨の実現を要望している。本意見書中において当連合会は,新設されるべき「誤判原因を究明する調査委員会」は「関係機関からの独立性が保障され,十分な権限(調査権限を含む)を付与された公的な第三者機関とすべき」旨提言しているところ,本申入れにかかる検証機関も,本来,これと同様の性格を有することが強く求められる。しかしながら,かかる調査委員会の設置にはなお一定の期間を要することから,本申入れにかかる検証機関が,当面の間,法務省内に置かれることも,事態の緊急性に鑑みやむを得ないものと思料する。
以上の理由により,申入れの趣旨のとおり申し入れるものである。
日弁連hp
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/report/101005.html
1.本申入書の趣旨1.冤罪防止を目的とする、検察組織及びその捜査の在り方に関する第三者検証機関を設置されたい。
2. 前項の検証機関において、取調べの可視化(取調べの全過程の録画)及び検察官手持ち証拠の全面開示をはじめとする冤罪防止策の導入について、今般の大阪地方検察庁特別捜査部による郵便不正事件の誤起訴及び証拠の改ざん事件の検証結果を踏まえた、積極的且つ迅速な検討を行わせることとされたい。
3. 第1項の検証機関は、検察庁から独立した第三者的立場の外部有識者のみによって構成することとし、日弁連が推薦する弁護士もこれに含められたい。
日弁連総第65号
2010年(平成22年)10月5日
法務大臣柳田稔殿
日本弁護士連合会
会長宇都宮健児
冤罪防止を目的とする検察組織及びその捜査の在り方に関する第三者検証機関の設置について(申入れ)
申入れの趣旨
1 冤罪防止を目的とする,検察組織及びその捜査の在り方に関する第三者検証機関を設置されたい。
2 前項の検証機関において,取調べの可視化(取調べの全過程の録画)及び検察官手持ち証拠の全面開示をはじめとする冤罪防止策の導入について,今般の大阪地方検察庁特別捜査部による郵便不正事件の誤起訴及び証拠の改ざん事件の検証結果を踏まえた,積極的且つ迅速な検討を行わせることとされたい。
3 第1項の検証機関は,検察庁から独立した第三者的立場の外部有識者のみによって構成することとし,当連合会が推薦する弁護士もこれに含められたい。
申入れの理由
今般の大阪地方検察庁特別捜査部の検事による証拠物のデータ改ざん事件は,司法に対する信頼を著しく傷つける,前代未聞の事態である。当連合会は,本事件の発覚を受けて,本年9月22日付けで「厚生労働省元局長事件における証拠の改ざん事件の真相解明を求める会長声明」を公表し,本件についての徹底した真相解明が,それにふさわしい組織によって,適切な方法で遂行され,このような誤った捜査が二度と生ずることのないよう,取調べの可視化(取調べの全過程の録画)及び検察官手持ち証拠の全面開示などの冤罪防止策を講じることを求めているところである。
しかしながら,これらの課題について,検察庁の内部組織による捜査,調査及び検証が行われるだけでは,その公正さに疑いを差し挟まざるを得ず,深く傷つけられた司法に対する信頼を回復することは極めて困難であるし,その結果が検察組織及びその捜査の在り方の十分な改革に結びつくものとは到底思われない。
過日貴職が,検察組織や捜査の在り方について第三者による検証を行う機関の設置を検討する考えを表明しておられることは,当連合会が懸念するところと軌を一にするものと考える。
したがって,本件の徹底した真相解明と,このような事態を二度と招来しないための検察組織及びその捜査の改革のためには,弁護士を含む外部有識者のみにより構成される検証機関が設置され,そこで厳格な検証が行われることが必要不可欠である。また,その人選が身内である法務省及び検察庁により恣意的に決定されないことも極めて重要であり,弁護士については当連合会の推薦によるものとすべきである。
なお,当連合会は,本年3月18日付けで「『誤判原因を究明する調査委員会』の設置を求める意見書」を採択し,千葉法務大臣(当時)にその趣旨の実現を要望している。本意見書中において当連合会は,新設されるべき「誤判原因を究明する調査委員会」は「関係機関からの独立性が保障され,十分な権限(調査権限を含む)を付与された公的な第三者機関とすべき」旨提言しているところ,本申入れにかかる検証機関も,本来,これと同様の性格を有することが強く求められる。しかしながら,かかる調査委員会の設置にはなお一定の期間を要することから,本申入れにかかる検証機関が,当面の間,法務省内に置かれることも,事態の緊急性に鑑みやむを得ないものと思料する。
以上の理由により,申入れの趣旨のとおり申し入れるものである。
日弁連hp
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/report/101005.html