ジョン・ルース駐日米大使夫妻が26日、長崎市を訪れ、長崎原爆資料館を見学し、原爆落下中心碑に献花した。資料館では「深く心を打たれた。『核兵器なき世界』の平和と安全を求め、すべての国とともに働く決意をさらに強く認識させてくれた。偉大なこの都市の不屈の闘志を見せてくださったことを感謝する」と記帳し、読み上げた。
長崎県によると、米大使の長崎訪問は94年のモンデール氏以来、戦後4人目。ルース大使夫妻は田上富久市長らの出迎えを受け、資料館を見学。市長によると、特に被爆者の体験を英文で示したコーナーに見入っていたという。被爆者の土山秀夫・元長崎大学長(85)、朝長万左男・日赤長崎原爆病院長(67)と約30分間懇談した。
原爆落下中心碑が建つ爆心地公園では、田上市長が「まさにこの真上で原爆が爆発し、今も多くの犠牲者がここに眠っています」と説明。大使は居合わせた下平作江・長崎原爆遺族会顧問(75)と「お会いできてよかった」と握手を交わした。下平さんはその後の取材に「人と人の触れ合いは素晴らしい。来年からは毎年8月9日の平和祈念式典に米国代表に来てほしい」と語った。
田上市長は「核兵器のない世界を目指す新しい流れができつつある大事な時期に訪問してくれて感謝している」と話した。
大使は8月6日の広島原爆の日の式典には参列したが、長崎は見送っていた。【錦織祐一】
毎日新聞 2010年9月26日 20時57分 更新:9月26日 21時2分
http://mainichi.jp/select/today/news/20100927k0000m040074000c.html
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「広島原爆の日:ルース大使、秋葉市長と和やかに握手」
平和記念式典開始前に握手するルース駐日米大使(左)と秋葉忠利・広島市長=広島市中区の平和記念公園で2010年8月6日午前7時35分、馬場理沙撮影
ルース駐日米大使は6日、広島市の平和記念式典開始の30分以上前に会場に姿を現し、あいさつに訪れた秋葉忠利・広島市長と和やかに握手した。猛暑の中、ルース大使は真っすぐに正面を見据え、菅直人首相らの言葉に聴き入っていた。
会場では報道陣の取材に応じることはなかった。式典終了後、参列した人々の方を見やりながら、黙って会場を後にした。
フランスから初参加したプノ臨時代理大使は報道陣に「軍縮の中でも核軍縮は絶対的に重要。式典には大変心を動かされた。初参加なので思いはひとしおだ」と述べた。
同じく核保有国のロシアのナボコフ1等書記官は、米英仏が初参加した今回の式典について「(核問題について)必ずしも各国の思惑が一致していなくても、確実に相互理解が深まっていることを示すものだ。過去の歴史は、遠ざかるほど客観的に見えてくる」と意義を評価した。
フィットン英臨時代理大使は「核不拡散の機運が高まる中で、今こそ出席すべきだと考えた。式典は大変感動的だった」と話した。
毎日新聞 2010年8月6日 11時37分(最終更新 8月6日 13時50分
http://mainichi.jp/photo/archive/news/2010/08/06/20100806k0000e040037000c.html