前田恒彦容疑者=大阪市北区で、三村政司撮影 厚生労働省の村木厚子元局長(54)=大臣官房付=の無罪判決が確定した郵便不正事件で、証拠品として押収したフロッピーディスク(FD)のデータを改ざんしたとして、証拠隠滅の疑いで逮捕された大阪地検特捜部の主任検事、前田恒彦容疑者(43)が今年2月ごろ、当時の特捜部幹部に「データを誤って書き換えてしまった」と話していたことが、検察関係者への取材で分かった。最高検は当時の特捜部長らから事情を聴く方針。

 関係者によると、今年1月27日に大阪地裁で開かれた村木元局長の初公判直後、大阪地検内で前田検事がFDデータを書き換えたのではという指摘が出たという。そのため2月ごろ、当時の大坪弘道特捜部長(現京都地検次席検事)が副部長に対し、書き換えについて事実確認を指示。副部長が前田検事に確認したところ、「いろいろやっていたら、FD自体のデータを誤って書き換えてしまった」と認め、「故意ではなかった」と話したという。

 特捜部幹部らは、▽公判では書き換え前のFDデータの内容が証拠として提出されている▽押収したFDは既に返却しており公判に影響しない▽前田検事に故意性がない--との説明とともに、書き換えの事実を大阪地検の小林敬検事正と玉井英章次席検事(現大阪高検次席検事)に報告した。その後、地検による詳しい調査は行われなかったという。

 当時の特捜部長だった大坪・京都地検次席検事は22日朝、毎日新聞の取材に対し、前田検事のデータ改ざんについて「指示などするはずがない」と関与を全面否定。前田検事からの報告については「ノーコメント」と話した。小林検事正は「当事者になるので」とだけ述べた。【久保聡、村松洋】

毎日新聞 9月22日
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20100922k0000e040072000c.html