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記事:毎日新聞9月22日
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20100922k0000e040038000c.html

 郵便不正:「経験役立てたい」村木元局長

 逮捕から1年3カ月。厚生労働省の村木厚子元局長(54)が待望の職場復帰を果たした。無罪確定から一夜明けた22日の会見で、村木さんは元の生活に戻れることを喜んだ。また、検察の信頼回復のために「これまでの体験を役立てたい」と語り、最高検による今後の捜査や検証を厳しく見守る姿勢を見せた。

 検察の上訴権放棄による無罪の確定は、21日夜に主任弁護人の弘中惇一郎弁護士から電話で知らされたという。「『おめでとう』と言われ、初めて実感がわきました。本当にうれしかったです」。同日夜には細川律夫厚労相から職場復帰を依頼する電話が入ったといい、「仕事はどの分野でも構わない。一人の公務員としてできることをやりたい」と笑顔を見せた。

 村木さんはこの1年余りを「苦しかったけど、得ることも多かった」と振り返る。「周囲に自分を応援してくれる人がたくさんいた。『人の力』を実感した期間だった」と語り、家族とは拳を合わせて喜び合ったと明かした。長女と次女からは「やっぱりほっとした」「よく頑張ったね」と声をかけられ、厚労省の同僚でもある夫は「明日から専業主婦がいなくなる」と笑っていたという。

 大阪地検特捜部の主任検事、前田恒彦容疑者(43)の逮捕については「衝撃が大きく、まだ整理できていない」としたうえで、「非常に重要な問題だと感じる。この事件でたまたま犯罪が明らかになったというだけでなく、今の検察の問題点を把握し、それを修正するきっかけになれば」と話した。

 今後の検察については「弁護士と相談しながら、私自身が経験したことが生きるようにしたい。厳しく温かく見守っていきたい」と語った。

 一方、会見に同席した弘中弁護士は事件について「検察の自浄能力には期待できない」と指摘。「第三者の力を借りながら検察の病理現象全体にメスを入れて解明することが必要だ」と提起した。【鈴木一生、山本将克、野口由紀】