中野区教育委員会は、区内の地域センターを会場にした「出張教育委員会」を開いている。通常なら委員の審議を見守るだけの傍聴者に発言の場を設け、地域密着の「開かれた委員会」を標榜(ひょうぼう)するが、意見に対して委員側が回答をしないなど、看板倒れに終わっている。一九八〇~九〇年代、教育委員を住民投票の結果に基づいて選ぶ「準公選制」を全国で唯一実施し、教育自治の先進地として知られた中野の“いま”を探った。 (松村裕子)

 ▼ 住民意見に回答なし
 区教委は二〇〇二年から年二回、通常の区役所のほかに、区南部、北部各一カ所の地域センターを会場に教育委員会を開催している。八月二十七日、江古田地域センターで開かれた委員会には、近隣小中学校のPTA役員や体育指導委員ら十余人が傍聴した。テーマは「子どもの体力向上」。「公園が少ない。あってもボールを使えない。公園を充実してほしい」「運動教室を開くためのボールやラケットなど道具の補助制度を考えてほしい」と意見が出た。委員側の返答はなかった。
 初めて傍聴した人が多く、「教育委員会は何をするんだろうと思ってきてみた」という女性(48)は、何だかよく分からない様子。別の女性(36)は「意見は言うだけで返事がない」と消化不良気味だ。


 二十三区では、千代田、練馬区が視察や児童生徒、父母との懇談とセットで小中学校で教育委員会を開いているが、学校以外の場所は中野区だけ。中野区は年一回、夜間にも開催。毎月、月末の教育委員会では傍聴者が発言できる場も設けている。
 田辺裕子教育長は「教育委員会はあくまで委員が議論する場で、議論の参考として区民の意見を聴いている。委員からの返答があった方がいいという声も理解できるが、対話集会など別の形で検討したい」と話す。
 地域での教育委員会は区役所で開くよりは傍聴者が増える傾向にあるが、教育委員会が何かさえ知られていないのが現状で、「もっとPRしないといけない」としている。

『東京新聞』(2010年9月9日【東京】)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/20100909/CK2010090902000028.html

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