伏見 忠(松原)

 昨年12月に「自律的労使関係制度の措置に向けて」と題する公務員制度改革に関する報告書が出されました。300頁を超える長いものなので簡単に説明すると、労使合意重視型、国会重視型、それぞれの折衷型と3通りのモデルを盛り込んだ報告となっています。
 この報告は、公務員の労働基本権の制約は必要との観点が基調となっており、戦後労働運動で、長く間闘われてきた公務員の団体交渉権や争議権をめぐっての労働者側の主張が活かされているわけではありません。他にも様々な問題点がありますが、この報告を柱として来年の通常国会にも民主党の「公務員改革法案」が提出されます。

 さて、この間の都高教の説明では「奪われていた労働基本権が回復される」「労使の対等な交渉に基づく労働協約によって勤務条件が決まる」など公務員の権利の回復や地位の向上と、良い面ばかりが強調されていますが、国会の論議では、仙石大臣は「人勧のもとではやれなかった公務員給与体系の抜本的見直しが可能となる」「国家公務員の総人件費の2割削減の目標は公務員制度改革後の労使交渉を通じて給与改定等によって2013年度までに達成できる」と答弁しています。


 民主党政権の本当の狙いは、公務員の「リストラと賃下げ」にあると言わざるをえません。先の都高教の方針案では、労働協約締結のためにも「組織の拡大」をと言っています。もちろん、組織拡大は否定しませんが、それだけで「リストラ・賃下げ」に対決できるとは思えません。組合員ひとりひとりが仲間と団結し、差別分断を眺ね返し、最も弱い立揚の組合員を守る決意と組織方針を確立する事でしか、攻撃に勝つ事はできないと考えます。

 労働基本権をめぐる問題は多岐にわたっていますが、そもそも、労働基本権は、法律上で承認されたり、政府によって付与されるものではありません。労働者が生きるため・生活するために、闘うために団結するのは歴史的な必然です。労働基本権の「代償」などすることはできないのです。

 「中央の交渉で一元的に労働協約を締結し下部におろす」という方法も検討されています。下部がいくら反対であっても中央の決定に背けない、労使の合意に背けば自分の組合から弾圧されるそんな「大政翼賛的」な未来も想像できなくもありません。今後の都高教をどんな組合として造っていくかを問う重要な問題ですので、執行部による積極的な情報の提供と全組合的な論議が必要です。

『YOU SEE!』(2010/8/28 夏特集号)
元気・勇気・連帯 新しい都高教をめざす会

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