帝京大病院(東京都板橋区)で発生した多剤耐性菌アシネトバクター・バウマニによる院内感染で、感染との関連が否定できない死者9人のうち4人は、病院が対策に乗り出した今年5月以降に亡くなっていたことが分かった。厚生労働省や都は対策の遅れに加え、専従スタッフの少なさなど体制の不十分さが感染拡大を招いたとみて、感染ルートなどの解明を進めている。
病院によると、今年4月から5月初めに八つの病棟で、約10人の患者から同菌が相次いで検出されたことから「院内感染」と認識して対策を開始。感染者を個室で管理し、一時的な入院制限や病棟の除菌などの措置を講じた。6月には全職員を対象とした講習会も開き注意喚起した。
しかし、感染の拡大は止まらず、5月20日に急性骨髄性白血病の男性(56)が死亡。同29日にも糖尿病の女性(55)が亡くなるなど、感染との関連が否定できない死者は8月25日までに4人に上った。感染が確認された患者数も、5月7人▽6月6人▽7月1人▽8月7人--の計21人に達し、全感染者46人の半数近くを占めた。
同病院はベッド数1154床で、都内でも有数の大規模病院。しかし、都によると院内感染防止対策の専門スタッフは医師1人、看護師1人のみで、同規模の病院に比べて少なかったという。
都は「4~5月の時点でそれなりの対策は取られたが結果的に不十分だったため、医療従事者などを通じて広がった可能性がある」と指摘している。【佐々木洋、石川隆宣】
毎日新聞
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20100905k0000m040100000c.html
病院によると、今年4月から5月初めに八つの病棟で、約10人の患者から同菌が相次いで検出されたことから「院内感染」と認識して対策を開始。感染者を個室で管理し、一時的な入院制限や病棟の除菌などの措置を講じた。6月には全職員を対象とした講習会も開き注意喚起した。
しかし、感染の拡大は止まらず、5月20日に急性骨髄性白血病の男性(56)が死亡。同29日にも糖尿病の女性(55)が亡くなるなど、感染との関連が否定できない死者は8月25日までに4人に上った。感染が確認された患者数も、5月7人▽6月6人▽7月1人▽8月7人--の計21人に達し、全感染者46人の半数近くを占めた。
同病院はベッド数1154床で、都内でも有数の大規模病院。しかし、都によると院内感染防止対策の専門スタッフは医師1人、看護師1人のみで、同規模の病院に比べて少なかったという。
都は「4~5月の時点でそれなりの対策は取られたが結果的に不十分だったため、医療従事者などを通じて広がった可能性がある」と指摘している。【佐々木洋、石川隆宣】
毎日新聞
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20100905k0000m040100000c.html