【イントロダクション】
21年ぶりにフランス映画に栄誉をもたらしたのは、
演技経験の無い24人の子供たち
それは、映画史上、最も胸躍る事件の一つだった。第61回カンヌ国際映画祭で、誰一人演技経験のない24人の子供たちと教師役の大人たちが出演した映画『パリ20区、僕たちのクラス』が、パルムドールを受賞したのだ。誰もが、たちまちこの作品に魅了された。ドキュメンタリーとしか思えないほどの自然な演技に驚嘆し、先の読めないストーリー展開に胸を躍らせる。さらに、いつの間にか子供たちの誰かに中学生時代の自分を重ね合わせ、感情移入せずにはいられなくなるのだ。 審査委員長を務めた、希代の名優で監督としても高く評価されているショーン・ペンからは、「演技、脚本、すべてが魔法だ」という破格の賛辞が贈られた。フランス映画がパルムドールを獲得するのが実に21年ぶりであることも重なって、様々なメディアが「奇跡の映画だ」と熱く書きたてた。そして遂に、カンヌの熱狂が海を超えて、日本へやって来る。
社会で生きる力である“言葉”を学ぶ多感な生徒と、
迷える教師の“教室の真実”
舞台は、パリ20区にある中学校の教室。主な登場人物は、出身国も生い立ちも、将来の夢もバラバラな24人の生徒たちと、フランソワという名の一人の教師。カメラが追いかけるのは、1年間の国語の授業だ。移民であるため母国語を別にもつ生徒たちはもちろん、すべての10代の子供たちにとって、国語とは生きるための言葉を学ぶこと。それは、他人とのコミュニケーションを学び、社会で生き抜く手段を身につけることでもあるのだ。言葉の力を教えたいフランソワにとって、生徒たちとの何気ない対話の一つ一つが授業であり、真剣勝負だ。彼は生徒たちを人として対等に扱おうとするあまり、彼らの未成熟さに苛立ちを抱いてしまう。生徒たちは、あまりにも率直なフランソワの言葉に、時には傷つき、反発し、時には勇気づけられる。弾けるような笑いと抑えられない怒りが、分刻みに交錯する多感な24人の生徒達と、教師とは何かを模索し続けるフランソワは、この1年間でいったい何を学ぶのか──?
フランスが誇る俊英ローラン・カンテ監督が贈る、
教室という世界の縮図で、希望を見出す感動作
フランソワを演じるのは、本作の原作となった「教室へ」の著者であるフランソワ・ベゴドー。元教師で、自身の体験を基に、中学校での1年間を綴ったその小説は、“本当の教室が赤裸々に描かれている”と話題を集め、センセーションを巻き起こした。子供たちを演じるのは、パリ20区のフランソワーズ・ドルト中学校の生徒たち。 監督は、『ヒューマンリソース』『タイム・アウト』のローラン・カンテ。本作で一気に時の人となったが、着実に実力を積んできた俊才だ。カンテ監督が子供たちから自然な演技を引き出した秘密は、撮影前のワークショップにある。中学校で希望者を募って週1回、約7ヶ月間、彼ら一人一人の個性を把握し、能力を探り続けた。そして、最後まで通い続けた生徒たちの中から、この24人を選んだのだ。 子供たちの設定は、すべてフィクションである。彼ら自身の性格を少し取り入れたキャラクターもあるが、ほとんどが自分とは全く違う生徒を演じている。監督を始めスタッフ、キャストの大人たちは、彼らの潜在能力に感動した。 様々な人種の子供たちが、ぶつかりながら生きている教室──これこそが、現代社会の縮図だ。希望も絶望も同じくらい存在するこの世界で、それでも何かを学び取り、成長を成し遂げる子供たちの姿に、私たちは未来の希望を見出さずにはいられない。
【ストーリー】
パリ20区、ある中学校の教室
始業ベルが鳴ってから、着席するまで15分間。注意されるまで、帽子は脱がない。教師のちょっとした言い間違いは嬉々として指摘する──そんな“問題あり”の生徒たちに囲まれて、この中学校に来て4年目になる国語教師フランソワの新学年が始まった。
24人の生徒たちは、出身国も生い立ちも将来の夢も異なる。フランソワは、自分のクラスの24人の生徒たちに、正しく美しいフランス語を教えようとしていた。しかし、スラングに慣れた生徒たちは、反発する。国語とは生きるための言葉を学ぶこと。それは他人とのコミュニケーションを学び、社会で生き抜く手段を身につけることでもある。
言葉の力を教えたい教師フランソワにとって、生徒たちとの何気ない対話の一つ一つが授業であり、真剣勝負だ。フランソワはどの生徒にも真正面に向き合おうとして、悩み、葛藤する。一方、多感な24人の生徒たちは、率直な言葉、弾けるような笑い、抑えられない怒りでフランソワに応じる。1年間で、さまざまな個性の子供たちが混じり合うようにして何を学ぶのだろうか。
パリ20区、ある中学校の教室 公式ホームページ
http://class.eiga.com/story.html
(下記は8月21日現在の情報です。)
関東
東京 岩波ホール 03-3262-5252 上映終了
東京 新宿武蔵野館 03-3354-5670 2010年8月14日(土)★上映期間:8月27日(金)まで
①10:30-12:45②18時ー20:15(学生3人以上:学生証持参にて一人1000円)
静岡 シネギャラリー 054-250-0283 2010年9月4日(土)
群馬 シネマテークたかさき 027-325-1744 近日
北海道
札幌 ディノスシネマズ札幌劇場 011-221-3802 2010年9月11日(土)
東北
青森 シネマディクト 017-722-2068 近日
青森 フォーラム八戸 0178-44-4411 近日
宮城 フォーラム仙台 022-728-7866 2010年10月16日(土)
山形 フォーラム山形 023-632-3220 近日
福島 フォーラム福島 024-533-1515 近日
岩手 フォーラム盛岡 019-622-4703 近日
中部
愛知 名演小劇場 052-931-1741 2010年8月20日(金)まで
関西
大阪 テアトル梅田 06-6359-1080 上映終了
京都 京都シネマ 075-353-4723 2010年9月4日(土)
兵庫 シネ・リーブル神戸 078-334-2126 2010年8月7日(土)
中国
広島 広島サロンシネマ 092-733-7373 近日
山口 テアトル徳山 0834-21-7504 10月
九州
福岡 ソラリアシネマ 092-733-7373 2010年9月25日(土)
大分 シネマ5 097-536-4512 近日