県の認知症コールセンターを昨年度に利用した相談者のうち、およそ3割が心身の疲労を訴えていることが、センター運営を受託しているNPO法人「県宅老所・グループホーム連絡会」(事務局・長野市)のまとめで16日、分かった。暴言や妄想などの症状についても相談が多く、負担の重い介護で疲労をため込む家族が少なくない実態を物語っている。

 センターは県が昨年8月に開設。電話で認知症に関する悩みを聞いたり、助言をしている。今年3月末までに、介護家族を中心に延べ374人の利用があった。女性が約8割の296人、男性は71人、不明7人。1人でいくつもの悩みを訴える人も多かった。

 相談内容で最も多かったのは「介護方法」の160件で、利用者の42・8%から相談があった。「夜間におむつを外して排せつしてしまう」「昼間寝ていて、一晩中起きている」といった相談が目立つ。「暴言がひどい」「物取られ妄想がある」「せん妄の症状が出ると刃物を持ち出す」「車の運転をすると言ってきかない」など、「行動障害」についても53件あった。

 介護や対応の仕方が分からずに悩む家族が多い中、「心身疲労」の相談は102件、27・3%に上る。「介護疲れでうつ状態になった」「夫が介護に非協力的。だれかに話を聞いてほしい」などと訴える人が多いという。

 このほか「入所できる施設が少ない」「(64歳以下の)若年性認知症の人の居場所が少ない」「精神病床への入院を勧められたが、どうしたらいいか」といった相談も。「親身に相談に乗ってくれない」など、担当するケアマネジャーや、高齢者福祉の総合窓口になっている各地の地域包括支援センターへの苦情も複数あった。

 「認知症や介護サービスについて必要な情報がまだ行き渡っていない」と同連絡会事務局。「悩みをしっかり受け止め、きめ細かな対応を取ってもらえる環境を早急に整える必要がある」としている。

 コールセンター(電話026・226・7830)は日曜・祝日を除く午前10時~午後5時。

信濃毎日新聞 8月17日(火)
http://www.shinmai.co.jp/news/20100817/KT100810ATI090004000022.htm