
鹿児島県阿久根市の竹原信一市長(51)の解職請求(リコール)に向けて、市民団体・阿久根市長リコール委員会(川原慎一委員長)は16日午前、市選管に必要書類を提出した。17日にも署名集めを始める。08年9月の竹原市長就任以来、混乱を繰り返した阿久根市政は新たな局面を迎える。
同委員会は「議会制民主主義を否定する独裁で、市政正常化の方法はリコールしかない」として、6月下旬から市内約80カ所で住民説明会を開催。署名集めに取り組む「受任者」を520人集めたという。請求には、1カ月間で有権者(2万18人=6月23日現在)の3分の1以上となる6673人の署名を集めることが必要。同委員会は8000人分を目指しており17日夜、市民会館など市内8カ所で「出発式」を開く。
専決処分で副市長に選任された仙波敏郎氏によると、竹原市長は16日「住民、市民が市政に直接、関心をもっていただくことの一つの現れがリコール。結構なことだ」と話したという。
署名数が要件を満たせば、市選管の審査、署名簿縦覧などの手続きを経て早ければ11月に住民投票が実施される見通し。投票者の過半数が解職に賛成すれば、竹原市長は失職するが、出直し市長選への出馬は可能。
竹原市長は08年8月に初当選。ブログ上での「辞めさせたい議員アンケート」などが物議を醸し、反市長派市議の賛成多数で市長不信任案が2度可決され、09年4月に失職。同5月の出直し市長選で再選された。その後、市職員の懲戒免職処分を取り消した裁判所の判断に約9カ月間従わず、議会招集を拒否して専決処分を繰り返して伊藤祐一郎知事から勧告を受けるなど、市政の混乱が続いた。
竹原市長は仙波氏の副市長選任を機に、市議会招集に転じた。25日の臨時議会では、これまでの専決処分18件などが審議されるが紛糾が予想される。【福岡静哉、馬場茂】
≪毎日新聞≫