★ 外交機密費の流用

佐藤優 (さとうまさる 作家・元外務省主任分析官)

 今月四日の衆議院本会議で、鈴木宗男衆議院議員(新党大地代表)に対する永年在職二十五年の表彰が行われた。この席のスピーヂで、鈴木氏は「同僚議員の皆さん、時代のけじめをつけることは、国策捜査によって行うのではなく、国民によって選ばれたわれわれ国会議員が政治主導によって行うべきではないでしょうか」と呼びかけた。
 鈴木氏が、七月二十一日のテレビ番組で、一九九八年の沖縄県知事選挙において、自民党が推す稲嶺恵一候補の陣営に、内閣官房機密費(報償費)から三億円が渡されたと証言したのも「時代のけじめ」をつけるためなのだろう。
 官房機密費は年額約十二億円だ。その中から三億は多すぎる。このことについて筆者は鈴木氏にただした。
 鈴木氏は「小渕(恵三首相)さんは『外務省枠があるから、足りなければそれを使え』と言っていた。当時、外務省から裏で二十億円の外交機密費(報償費)が官邸に上納されていたからね。三億円なら出せる」とはっきり証言した。
 外交機密費の官邸への上納は首脳外交に使うためと説明されていたが、国内の選挙に使われていたという鈴木氏の証言の持つ意味はきわめて重い。

 国民から隠された「裏金」で、民意が操作された可能性があるからだ。
 外交機密費の上納問題を徹底解明する必要がある。

 『東京新聞』(2010/8/6)

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