▼ 7月30日、杉並区議会臨時議会のご報告
                  作者 けしば誠一・新城せつこ
 田中新区長就任初の臨時議会が開かれました。
 議題は、
 1、教育委員会委員(田中奈那子氏)の任命の同意について
 2、教育委員会委員(對馬初音氏)の任命の同意について
 3、監査委員(小野清人議員)の選任について
 4、監査委員(斉藤常男議員)の選任について

 (略)

 (2)議案第56号杉並区教育委員会委員の任命の同意について(田中奈那子氏)
 《質問要旨》
 山田前区長により、資質および公平・中立性を欠いた教育委員が選任されてきました。その結果、2005年と2009年の2度にわたり、強い反対を押し切って、中学歴史教科書に、侵略戦争を正当化する「扶桑社版」が採択されてきました。
 田中新区長が、今回どのような人物を選ぶか、保護者や学校関係者をはじめ、区内外から注目されています。
 1、区長公約の「杉並の公平・公正な教育」は、どのような方向を目指すものか。山田前区長による独善的思想による教育の支配を正すことをめざすものか、区長の見解を。
 2、区長は、「新しい歴史教科書」の扶桑社版や自由社版に、どのような評価をもたれているのか。
 3、選任にあたり、どのような基準で選んだのか。PTA会長経験者を選んだばれた理由は。
 4、経歴で一点気になることは、石原都政下で実施されている「心の東京革命」推進協議会チーフアドバイザーの経歴です。区長は、石原都政による教育現場での「日の丸・君が代」の強制と処分に関してどのような見解をお持ちかお聞きしておきます。

 区長答弁は、
 「『公正・公平』は言葉どおり」「石原都政に良い面も悪い面もある」「教科書は読んだかどうか覚えていない」という、何とも言いようのない無内容な答弁で、東京都教育委員会や杉並区の教科書採択の姿勢に、田中区長の批判的視点はないと判断しました。

 《意見》
 提案された議案は、本日の議会運営委員会で決定された後、議案として受け取りました。しかし、その前に議会事務局を通じて、区長部局からの情報として事前に明らかにされ、人事案に対する検討する時間が与えられました。山田前区政では、与党会派には事前に打診がありながら野党・とりわけ野党少数会派には議案になるまで明らかにされないことが度々でした。このたびの区長の議会への対応に、山田区政が転換したことを実感でき、期待を持って臨時議会に臨みました。しかし、答弁には落胆しました。
 提案された田中奈那子さんは、経歴からも明らかなように、杉並小学校PTA会長を経て、豊多摩高校でPTA会長を勤められました。しかも、東京で初めて五つ子を生み、一度に通常の母親の5倍の苦労をなさって、子育てをしながらのPTA活動や地域活動を行ってきた驚嘆すべき人物です。結婚30年を記念するまでの困難を報道するテレビ番組の紹介で、その家族の在り方を知り、心を打たれました。しかし、その人柄人物が評価に値するとしても、政治的立場となれば別問題です。
 区長の公正中立な教育という立場には期待をしていました。区民は、山田区長の教育のゆがみを正してもらえるかと期待を寄せてきました。区長の答弁では、石原都政の心の東京革命のチーフアドバイザーという経歴の疑念を晴らすことはできませんでした。人物として信頼した方が、来年つくる会教科書を採択することになれば、責任をとれません。区長の答弁からは議案第56号には反対といたします。

 (3)議案第67号杉並区教育委員会委員任命の同意について(對馬初音氏)
 《質問要旨》
 経歴からはPTA会長を経験され、その後も教育現場に関わり、子どもたちや教員のおかれている現場をよく知る方であると認識できます。しかし、提案された議案を判断するためには、山田区長が選んだ教育委員人事に対する田中区長の見解と姿勢を問わねばなりません。仮に2名の教育委員が議案のような保護者や地域から選ばれた信頼できる方であっても、教育行政の姿勢如何で教科書採択が大きく変わることを経験してきました。
 1、大蔵委員長にお聞きします。以前勝共連合の機関紙『世界日報』の連載執筆者であったこと、教育委員になってからも「新しい歴史教科書をつくる会」の関係する政治的団体の役員を勤めてきたこと、議会で質問されてからそれを辞めたことなど、教育委員としての資質に欠けています。山田区長の支えがなければ辞職すべき人事でした。区長が交代した以上、自ら職を辞すのが潔いあり方だと思うが、見解を求めます。
 2、教育委員会の公平中立性を守るために、前区長の選任したお二人は替わるべき。区長がどのように取り計らうのか、その姿勢を問う。
 大蔵委員長の答弁は無く、区長は「大蔵委員長も宮坂委員には任期を全うしてもらう」との答弁。提案された對馬(つしま)さんは、PTA関係者がよく知る信頼できる方で、残る2人の委員の解任を求め議案には賛成しました。

 《意見》
 議案第57号の對馬初音さんは、区立第5小学校のPTA会長を経験され、その後も学校教育に地域で関わり、杉並の子どもたちや教員のおかれている現場をよく知る方です。天沼小学校では学校図書館で司書を努め、図書館関係者からも評価のある方です。山田区政のもとで歪められてきた教育を立て直すために、まず保護者の立場から関わっていただくことを期待し、議案には賛成いたします。
 しかし、山田区長の選んだ大蔵委員長、宮坂委員が残る限り、区長の掲げる教育の公正・中立は実現することはできません。来年中学の教科書採択までには何としても一新しなければなりません。任命権は区長にあると言われました。お二人が大橋委員のように辞職しない以上、教育の公正中立を旨とする区長の考えとは異なる2人の解任の議案を出して即刻やめさせることを求め、意見を終わります。

 (以下略)

『けしば・新城HP』(2010/07/31)
http://www.keshiba-shinjo.net/content/view/274/28/

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