警視庁麹町署に入る日本振興銀行前会長の木村剛容疑者=東京都千代田区で2010年7月14日午後3時18分、内藤絵美撮影
日本振興銀行(東京都千代田区)による検査妨害事件で、同行前会長の木村剛容疑者(48)が、金融庁から立ち入り検査を予告された直後の09年5月下旬、本店会議室で「検査対応ミーティング」と称する会議を開き、前社長の西野達也容疑者(54)らに対し、検査対象の電子メールを削除するよう指示していたことが警視庁捜査2課の調べで分かった。【酒井祥宏、川崎桂吾】
◇「担当者の過失と言え」
捜査2課によると、ミーティングには木村前会長、西野前社長とともに銀行法違反(検査忌避)容疑で逮捕された▽元専務執行役、山口博之(48)▽元執行役、関本信洋(38)▽同、渡辺勝也(43)の3容疑者らも順次参加し、検査開始直前の09年6月上旬まで断続的に行われた。メール削除は関本容疑者が実行したという。
ミーティングで木村前会長は、違法な取引が記載されたメールを削除するよう命じ、金融庁の検査官から追及された場合には「担当者の過失で削除したと言え」と具体的に指示していた。
西野前社長ら4人は調べに対し「木村前会長の指示でメールを削除した」などと容疑を認めた。一方、木村前会長は「逮捕容疑と私の見解は違う」と否認しているという。
木村前会長らは約280件のメールを削除したとして逮捕されたが、そのほとんどは同行の融資先企業百数十社で構成する「中小企業振興ネットワーク」への融資や取引に関するものだった。この中には、金融庁から「出資法違反の疑いがある」と指摘された商工ローン大手「SFCG」(破産手続き中)との債権取引に関するメールも含まれていた。
【毎日新聞】