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 『プレジデント』誌(2010.5.3)では、約2,000人(正社員78%,非正規22%)を対象に「働くモチベーション」について意識調査をした結果を掲載している。
 35の集計グラフの中から、気になる項目をピックアップしてみる。日本企業は、社員のモチベーションを高める方向に推移しているのであろうか。

 ★ 心理調査 2000人の本音
  キャリア不安 動機はお金54% 孤独な心理

 「生活の中で、仕事は重要で有意義?」との問いには、半数以上が肯定的な回答をしており、「誇りの持てる仕事をしていきたい?」には、7割超がそう思うと答えている。

■図2 仕事に誇りを求める人が7割



 それなのに、「現在の会社で『働きがい』を感じていますか?」には、平社員の3人に1人は「働きがい」なし、と答えている。


■図3 平社員の3人に1人は「働きがい」なし!



 このギャップは、改善されるどころか、ここ数年さらに大きくなっている。

■図9 3人に1人は、2年前に比べて働きにくくなっている



■図30 40代の6割が、2年前に比べてストレスが増えている。



■図36 処遇に関する公正感は、2年前に比べて減少の一途



 小泉・竹中流の「新自由主義」経済が、一般社員のモチベーションを低下させ、働く環境を疲弊させてきていることが見て取れる。
 自由競争の基本である「公正さ」が失われれば、経済はただの野蛮な弱肉強食になってしまうというのに、日本経済のモラルはジャングルに向かって退化しているかのようだ。
 昨今の経営者は、「お金」でしか社員のモチベーションを釣ることができないのだろうか。「お金のために」我慢して働く一般社員には、「働きがい」のある仕事などほど遠い夢でしかないというのが寂しい現実だ。

 ★ 「派遣社員」がキャリアパスを見つけるのは困難

 正社員において「職場実感」がこれだけ悪化しているのだから、「ハケン」は尚更である。派遣社員にフォーカスしたクロス分析のグラフが6つ載っている。
 その1つ「現在の会社に働きがいを感じているか?」では、派遣のYESは12%、正社員の3分の1と極端に低い。パートと比べても半分でしかない。

■図1 現在の会社に働きがいを感じているか



 島貫智行氏(山梨学院大講師)の分析は、以下の通りだ。
 「派遣先の会社それ自体に対する不満よりも、派遣で働き続けることに長期的な展望を描きづらいことが大きい。」
 「同じ非正規雇用でも、パートや契約社員には、キャリアパスが比較的整備されています。能力に応じた昇給制度や、正社員登用制度などを用意している会社も多く、パートから店長などの管理職になるケースも少なくない。こうした形で将来のキャリアを見通すことができれば、たとえ今何らかの不満があっても、昇給や昇進、成長感、達成感といった要素が働きがいにつながります。しかし派遣社員の場合、派遣先企業の中で昇進することはありませんし、より高度な仕事にレベルアップしない限り賃金を上げていくことも難しい。ワーク志向の派遣社員は、そこで働きがいを見失っている。」

 「ハケン」と言えば、同誌『女性管理職匿名座談会』には、次のような話題も。

 「逆に私が怖いのは、女子トイレ。あそこは女の恨みつらみの巣窟ですから。特に派遣の子たちの豹変ぶりが半端じゃない。オフィスでは笑顔なのに、トイレに集まった瞬間「あのハゲオヤジ、コロス」とか普通に言っている。面接の時には、あんなに可愛かったのに…。自分のことを言われている時はジッと個室で固まっています。」

 抑圧された荒む心が女子トイレにはけ口を求める。喜んで「ハケン」やってる人なんていない。「派遣」は、自由な働き方を好む労働者自身が望んでいるもの、みたいな経営者の手前勝手な屁理屈は、女子トイレでは全く通用しないという現実を、世の経営者・連合幹部は知るべきだろう。
 「新自由主義」的労務管理は、経営者の視点からは「コスト削減」「国際競争力強化」などメリットがあるように見えても、働く側からすると「労働力は商品ではない」としたILO「フィラデルフィア宣言」(1944)以前に歴史の歯車を逆戻りさせてしまったよう見えるだけだ。1つの理念を確立するには、世界中で繰り返し原点に立ち返る作業を根気よく積み上げていくしかないのかもしれない。

 『PRESIDENT』(2010.5.3 【なぜあなたの会社は働きがいがないか】)

 この分析から、東京都で新たに導入された「主任教諭制度」の過ちが重なって見えてくる。
 新設された底辺の「新2級教諭」は、「主任教諭」と同じ仕事をやりながら、給料体系では昇給もなく将来の希望も持てない。雇用側は人件費削減を成果としたいのだろうが、会社全体の業績(学校教育の質)が悪化したら、経営者としては失格であろう。

 (完)