2010年3月23日 ビデオニュース・ドットコム
国際環境保護団体グリーンピース・ジャパン(GJ)のメンバーが調査捕鯨で船員による大規模な鯨肉の横領が行われていることを告発する目的で、鯨肉が入った段ボール箱を盗んだ事件の初公判が、15日、青森地裁で始まったのに合わせ、国際環境保護団体グリーンピース・インターナショナル(GI)事務局長のクミ・ナイドゥ氏が来日した。
グリーンピースといえば、反捕鯨で知られているが、ナイドゥ氏は捕鯨の違法性や調査捕鯨の正当性の議論とは別の次元で、今回の裁判を問題視していると言う。
「私達は(鯨肉の)横領を暴く目的で段ボール箱を持ち出したことを主張しているが、それが仮に検察の主張通り(罪に問われる)としても、5万円程度の鯨肉を盗んだ疑いで70人もの捜査官が早朝に自宅に押しかけ、家宅捜索を行った上で、会見まで開いて公にした二人を逮捕するのは、異常なことだ。」ナイドゥ氏はこう語り、日本の刑事司法制度の異常さを指摘する。
ナイドゥ氏はまた、2009年9月には、今回起訴されたGJメンバーの佐藤潤一被告と鈴木徹被告の逮捕・勾留について、国連人権理事会の元に設置された「恣意的拘禁に関するワーキンググループ」が人権侵害であるとの意見書を採択し、日本政府に伝えていることを指摘した上で、この問題が人権に関わる問題との認識を示した。
折しも、過激な抗議活動で知られる反捕鯨団体シー・シェパードの船長が調査捕鯨船に乗り込んで抗議活動を行ったことで、日本への身柄送致が見込まれる今、日本の刑事司法制度が人権保護の観点から大きな問題を抱えていることに国際社会の関心が集まっている。この裁判で問われているのは日本の民主主義の質だと言うナイドゥ氏のインタビューを交え、改めて日本の刑事司法制度の問題点について、神保哲生と宮台真司が議論した。
神保(ジャーナリスト): グリーンピースのメンバー2人が調査捕鯨船日新丸の船員がお土産として大量にクジラ肉を持ち帰っていることを横領だとして告発するために、配送途中の段ボール箱を盗んだことで窃盗と建造物侵入の罪に問われた裁判が15日、青森地裁で始まりました。マル激では以前、グリーンピースのメンバーが主張する、公共的な動機から別の犯罪を摘発するために、どこかの敷地に一時的に入ったり、物を一時的に持ち出したりした場合でも罪に問われるべきか、それとも簡単にそのような行為を無罪にしてはいけないのか議論をしていますが、今回裁判に合わせ来日したグリーンピース・インターナショナル事務局長クミ・ナイドゥ氏に話を聞くと、どうもこれとは別に、今回の裁判は予期しない波及効果をもたらしそうだということなのです。では、ナイドゥ氏のお話をここで紹介します。
クミ・ナイドゥ(グリーンピース・インターナショナル事務局長): 私達は(鯨肉の)横領を暴く目的で箱を持ち出したと主張していますが、仮に検察側の主張を全て受け入れたとしても、5万円程度の鯨肉を盗んだ疑いで70人もの捜査官が早朝に自宅に押しかけ、家宅捜査まで行った上で(22日間も)彼らの身柄を拘束する必要が本当にあるのでしょうか。
証拠を検察に提出し記者会見まで開いている彼らが逃げも隠れもするはずがありません。
私は、それは異常なことだと思います。この裁判はダンボール箱の窃盗だけを問うているのではありません。まして捕鯨の違法性や調査捕鯨への正当性を問題にしているのでもありません。この裁判では日本の民主主義の質が問われているのだと私達は考えています。
神保: ナイドゥ氏は、横領を告発する意図を明らかにして会見まで行ったグリーンピースのメンバーを逮捕までしておきながら、大量の鯨肉を船員らが持ち出していたことについては、伝統的にお土産として持ち帰っている慣習があるという理由で不起訴にしていることもあり、「ディスプロポーショナリティ(不釣り合い)」という表現を使って批判しています。つまり、やったことと処分の重さが不釣合いであると言います。さらに、それを日本という民主社会が容認していることがどうしても理解できないと言うのです。自分で食べたり売り払って利益を上げたりするために盗んだのではないのに、どうしてこのような処分を受け、また、世の中は平気でそれを容認するだということをナイドゥ氏はしきりに言っていました。ナイドゥ氏は、南アフリカでアパルトヘイトを経験してきた方でもあるので、日本のように成熟した民主主義の国であるはずの国がなぜこのようなことを容認するのかがわからないと主張していました。それについては私もどう答えたらいいのかわからなくなってしまいました。
宮台(社会学者): これは、単純に考えるべき問題であり、捕鯨について文化的なエゴイズムやエスノセントリズムを日本は国際社会で主張すべきか否かという問題とは別に、ナイドゥ氏の言うように、不公正な捜査を見逃してはいけないということに尽きるのではないでしょうか。
神保: 私は今回の裁判が意外な副作用を持ち始めるのではないかと思い、懸念もしています。というのは、今回、グリーンピースという国際的に名の通ったNGOの本部の方が裁判を傍聴するために日本にやってきたため、今まで散々言われてきた日本の刑事司法制度の問題点、要するに突然朝早くに捜査員がやってきて身柄を取られて22日間勾留され、徹底的に締め上げられ、それで自白を強いられ、起訴後も必ずしも保釈されるとは限らないということが国際社会で大きな注目を浴びることになってしまっています。今までは国内で、しかも主要メディア以外のところで問題になることはあっても、ここまで国際的な注目を集めることはなかったのではないでしょうか。さらに、今回のグリーンピースのメンバー2人の逮捕・勾留は人権侵害であるとして、国連人権委員会の下に設置された「恣意的拘禁に関するワーキンググループ」が意見書を出しています。
国際的な関心ということで言えば、捕鯨問題をさらにややこしくしているプレイヤーの一つとして反捕鯨団体シー・シェパードがいるのですが、なんでも艦長が日本の捕鯨船団の監視船に抗議活動をするために乗り込んできたので、身柄を拘束したというニュースが入ってきています。報道によると日本に移送したうえでの刑事処分も検討されているそうで、日本で逮捕されるなどということになった場合は、22日間の弁護士立会いのない勾留をすることになるわけで、それが世界に発信されることになります。小沢一郎氏の土地取引問題で検察が批判を浴び、取調べ可視化の問題が出てきたわけなのですが、国内問題では済まない事態になりつつあるのではないでしょうか。
とはいえ、これは却っていいことなのかもしれません。OECD諸国で他にこのようなことをやっている国はなく、国際的にどう見たっておかしいということが必ずしも日本では認識されていないので、批判を浴びることで問題を認識することができるわけですから。
宮台: そうですね。また、搦め手から言いますと、鯨肉の横流しについては不起訴処分になったことで、告発を受けてそれを公に検証する機会が失われてしまい、検察の持つ起訴便宜主義の限界が明らかになったと言えます。簡単に言うと、検察の起訴を受けて裁判所が起訴事実の有無を審理するという司法プロセスに載せずに、検察という一省庁が独断で鯨肉の横流しについてはおとがめなしということにしたこことで、政治色の強い案件でもある鯨肉の横領があったのか無かったのかということが公正に審理される機会を失ってしまい、検察の不起訴処分という判断が正しかったのか、そうでないのかも検証できなくなっているのです。
神保: グリーンピース・ジャパンは鯨肉の横流しについて、検察審査会に申し立てを行ってはいます。
宮台: しかし、検察審査会に申し立てをしても、鯨肉の問題は、まさに国民世論が感情的に吹き上がっている問題なので、市民参加型の司法プロセスには馴染まないでしょう。そういう意味で言うと、裁判所での公正な裁判という司法プロセスに載せないで検察が起訴・不起訴の判断をしてしまうということがどういう弱点を持つのかが良く表れる象徴的な事件だと思いますね。
神保: なるほど、国際的に見て不当な逮捕・勾留や検証可能性を奪う起訴便宜主義などといった日本の刑事司法の抱える問題が一つの事件に全て表れるということですね。
宮台: そういうことです。私達としては、そういう方向に議論を膨らませていって、検察の起訴便宜主義もそろそろいい加減にした方がいいぞ、また、それを前提にした裁判所の調書絶対主義もいい加減にした方がいいぞという議論をしっかりしていくべきでしょう。
神保: こういうことを言うと、犯罪には検察は粛々と対処していくだけですと言われるかもしれませんが、会見まで開いて告発の意図を明らかにし、検察へ盗んだ鯨肉を証拠として提出しているにもかかわらず、500ドル分の鯨肉を盗んだといって、70人近くの捜査員がやってきていきなり逮捕して22日間勾留しているのはやはりおかしいのではないでしょうか。やはりそこはさっき言った捕鯨問題で吹き上がるポピュリズムをあてにした行為としか思えません。
宮台: 検察、警察両方ともにそういう面はあると思いますが、何よりこの問題が国際的な活動を展開しているNGOを巻き込んでおり、国際的な問題になったときに、弁解するのが大変なことになるぞというようなリスクマネージメントを考えていないことが明らかになりましたね。検察や警察が国内問題の枠の中でしか自分たちの捜査や処分の正当性について考えていないということが露になったのではないでしょうか。
神保: 捕鯨の問題については、国内の世論と海外の世論でものすごく乖離があり、かつ国際的関心が高いということや、グリーンピースという組織が日本では小さい団体に見えるかもしれないけれど、資金力もあるとても大きな組織であるというようなことを考えずにいつものようにやってしまったということでしょう。
宮台: 逮捕・起訴されたグリーンピースのメンバー本人にとっては、たまらない問題ではありますが、私達にとっては、まさに怪我の功名ですね。問題が大きくなって私達が目からウロコ的に認識を変えるいいチャンスです。
プロフィール
※各媒体に掲載された記事を原文のまま2回に分けて掲載しています。
国際環境保護団体グリーンピース・ジャパン(GJ)のメンバーが調査捕鯨で船員による大規模な鯨肉の横領が行われていることを告発する目的で、鯨肉が入った段ボール箱を盗んだ事件の初公判が、15日、青森地裁で始まったのに合わせ、国際環境保護団体グリーンピース・インターナショナル(GI)事務局長のクミ・ナイドゥ氏が来日した。
グリーンピースといえば、反捕鯨で知られているが、ナイドゥ氏は捕鯨の違法性や調査捕鯨の正当性の議論とは別の次元で、今回の裁判を問題視していると言う。
「私達は(鯨肉の)横領を暴く目的で段ボール箱を持ち出したことを主張しているが、それが仮に検察の主張通り(罪に問われる)としても、5万円程度の鯨肉を盗んだ疑いで70人もの捜査官が早朝に自宅に押しかけ、家宅捜索を行った上で、会見まで開いて公にした二人を逮捕するのは、異常なことだ。」ナイドゥ氏はこう語り、日本の刑事司法制度の異常さを指摘する。
ナイドゥ氏はまた、2009年9月には、今回起訴されたGJメンバーの佐藤潤一被告と鈴木徹被告の逮捕・勾留について、国連人権理事会の元に設置された「恣意的拘禁に関するワーキンググループ」が人権侵害であるとの意見書を採択し、日本政府に伝えていることを指摘した上で、この問題が人権に関わる問題との認識を示した。
折しも、過激な抗議活動で知られる反捕鯨団体シー・シェパードの船長が調査捕鯨船に乗り込んで抗議活動を行ったことで、日本への身柄送致が見込まれる今、日本の刑事司法制度が人権保護の観点から大きな問題を抱えていることに国際社会の関心が集まっている。この裁判で問われているのは日本の民主主義の質だと言うナイドゥ氏のインタビューを交え、改めて日本の刑事司法制度の問題点について、神保哲生と宮台真司が議論した。
神保(ジャーナリスト): グリーンピースのメンバー2人が調査捕鯨船日新丸の船員がお土産として大量にクジラ肉を持ち帰っていることを横領だとして告発するために、配送途中の段ボール箱を盗んだことで窃盗と建造物侵入の罪に問われた裁判が15日、青森地裁で始まりました。マル激では以前、グリーンピースのメンバーが主張する、公共的な動機から別の犯罪を摘発するために、どこかの敷地に一時的に入ったり、物を一時的に持ち出したりした場合でも罪に問われるべきか、それとも簡単にそのような行為を無罪にしてはいけないのか議論をしていますが、今回裁判に合わせ来日したグリーンピース・インターナショナル事務局長クミ・ナイドゥ氏に話を聞くと、どうもこれとは別に、今回の裁判は予期しない波及効果をもたらしそうだということなのです。では、ナイドゥ氏のお話をここで紹介します。
クミ・ナイドゥ(グリーンピース・インターナショナル事務局長): 私達は(鯨肉の)横領を暴く目的で箱を持ち出したと主張していますが、仮に検察側の主張を全て受け入れたとしても、5万円程度の鯨肉を盗んだ疑いで70人もの捜査官が早朝に自宅に押しかけ、家宅捜査まで行った上で(22日間も)彼らの身柄を拘束する必要が本当にあるのでしょうか。
証拠を検察に提出し記者会見まで開いている彼らが逃げも隠れもするはずがありません。
私は、それは異常なことだと思います。この裁判はダンボール箱の窃盗だけを問うているのではありません。まして捕鯨の違法性や調査捕鯨への正当性を問題にしているのでもありません。この裁判では日本の民主主義の質が問われているのだと私達は考えています。
神保: ナイドゥ氏は、横領を告発する意図を明らかにして会見まで行ったグリーンピースのメンバーを逮捕までしておきながら、大量の鯨肉を船員らが持ち出していたことについては、伝統的にお土産として持ち帰っている慣習があるという理由で不起訴にしていることもあり、「ディスプロポーショナリティ(不釣り合い)」という表現を使って批判しています。つまり、やったことと処分の重さが不釣合いであると言います。さらに、それを日本という民主社会が容認していることがどうしても理解できないと言うのです。自分で食べたり売り払って利益を上げたりするために盗んだのではないのに、どうしてこのような処分を受け、また、世の中は平気でそれを容認するだということをナイドゥ氏はしきりに言っていました。ナイドゥ氏は、南アフリカでアパルトヘイトを経験してきた方でもあるので、日本のように成熟した民主主義の国であるはずの国がなぜこのようなことを容認するのかがわからないと主張していました。それについては私もどう答えたらいいのかわからなくなってしまいました。
宮台(社会学者): これは、単純に考えるべき問題であり、捕鯨について文化的なエゴイズムやエスノセントリズムを日本は国際社会で主張すべきか否かという問題とは別に、ナイドゥ氏の言うように、不公正な捜査を見逃してはいけないということに尽きるのではないでしょうか。
神保: 私は今回の裁判が意外な副作用を持ち始めるのではないかと思い、懸念もしています。というのは、今回、グリーンピースという国際的に名の通ったNGOの本部の方が裁判を傍聴するために日本にやってきたため、今まで散々言われてきた日本の刑事司法制度の問題点、要するに突然朝早くに捜査員がやってきて身柄を取られて22日間勾留され、徹底的に締め上げられ、それで自白を強いられ、起訴後も必ずしも保釈されるとは限らないということが国際社会で大きな注目を浴びることになってしまっています。今までは国内で、しかも主要メディア以外のところで問題になることはあっても、ここまで国際的な注目を集めることはなかったのではないでしょうか。さらに、今回のグリーンピースのメンバー2人の逮捕・勾留は人権侵害であるとして、国連人権委員会の下に設置された「恣意的拘禁に関するワーキンググループ」が意見書を出しています。
国際的な関心ということで言えば、捕鯨問題をさらにややこしくしているプレイヤーの一つとして反捕鯨団体シー・シェパードがいるのですが、なんでも艦長が日本の捕鯨船団の監視船に抗議活動をするために乗り込んできたので、身柄を拘束したというニュースが入ってきています。報道によると日本に移送したうえでの刑事処分も検討されているそうで、日本で逮捕されるなどということになった場合は、22日間の弁護士立会いのない勾留をすることになるわけで、それが世界に発信されることになります。小沢一郎氏の土地取引問題で検察が批判を浴び、取調べ可視化の問題が出てきたわけなのですが、国内問題では済まない事態になりつつあるのではないでしょうか。
とはいえ、これは却っていいことなのかもしれません。OECD諸国で他にこのようなことをやっている国はなく、国際的にどう見たっておかしいということが必ずしも日本では認識されていないので、批判を浴びることで問題を認識することができるわけですから。
宮台: そうですね。また、搦め手から言いますと、鯨肉の横流しについては不起訴処分になったことで、告発を受けてそれを公に検証する機会が失われてしまい、検察の持つ起訴便宜主義の限界が明らかになったと言えます。簡単に言うと、検察の起訴を受けて裁判所が起訴事実の有無を審理するという司法プロセスに載せずに、検察という一省庁が独断で鯨肉の横流しについてはおとがめなしということにしたこことで、政治色の強い案件でもある鯨肉の横領があったのか無かったのかということが公正に審理される機会を失ってしまい、検察の不起訴処分という判断が正しかったのか、そうでないのかも検証できなくなっているのです。
神保: グリーンピース・ジャパンは鯨肉の横流しについて、検察審査会に申し立てを行ってはいます。
宮台: しかし、検察審査会に申し立てをしても、鯨肉の問題は、まさに国民世論が感情的に吹き上がっている問題なので、市民参加型の司法プロセスには馴染まないでしょう。そういう意味で言うと、裁判所での公正な裁判という司法プロセスに載せないで検察が起訴・不起訴の判断をしてしまうということがどういう弱点を持つのかが良く表れる象徴的な事件だと思いますね。
神保: なるほど、国際的に見て不当な逮捕・勾留や検証可能性を奪う起訴便宜主義などといった日本の刑事司法の抱える問題が一つの事件に全て表れるということですね。
宮台: そういうことです。私達としては、そういう方向に議論を膨らませていって、検察の起訴便宜主義もそろそろいい加減にした方がいいぞ、また、それを前提にした裁判所の調書絶対主義もいい加減にした方がいいぞという議論をしっかりしていくべきでしょう。
神保: こういうことを言うと、犯罪には検察は粛々と対処していくだけですと言われるかもしれませんが、会見まで開いて告発の意図を明らかにし、検察へ盗んだ鯨肉を証拠として提出しているにもかかわらず、500ドル分の鯨肉を盗んだといって、70人近くの捜査員がやってきていきなり逮捕して22日間勾留しているのはやはりおかしいのではないでしょうか。やはりそこはさっき言った捕鯨問題で吹き上がるポピュリズムをあてにした行為としか思えません。
宮台: 検察、警察両方ともにそういう面はあると思いますが、何よりこの問題が国際的な活動を展開しているNGOを巻き込んでおり、国際的な問題になったときに、弁解するのが大変なことになるぞというようなリスクマネージメントを考えていないことが明らかになりましたね。検察や警察が国内問題の枠の中でしか自分たちの捜査や処分の正当性について考えていないということが露になったのではないでしょうか。
神保: 捕鯨の問題については、国内の世論と海外の世論でものすごく乖離があり、かつ国際的関心が高いということや、グリーンピースという組織が日本では小さい団体に見えるかもしれないけれど、資金力もあるとても大きな組織であるというようなことを考えずにいつものようにやってしまったということでしょう。
宮台: 逮捕・起訴されたグリーンピースのメンバー本人にとっては、たまらない問題ではありますが、私達にとっては、まさに怪我の功名ですね。問題が大きくなって私達が目からウロコ的に認識を変えるいいチャンスです。
プロフィール
※各媒体に掲載された記事を原文のまま2回に分けて掲載しています。