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 プリウスの電磁波はどうなのか?乗った感じはどうなの?それは…
 昨年、食品と暮らしの安全と共同で、ハイブリッド車プリウスの電磁波を測定した。
 今回は測定値よりハイブリッドカーの乗車した印象をお伝えする。これはあくまでも筆者の体験であるが、参考になればと思う。

 これまでにもハイブリッドカーの電磁波は大丈夫かという問い合わせをいくつか受けてきた。
 実際に初代のプリウスを測定したこともある。その際の数値は始動後、低周波が2.2~8.5mGで、その間、低周波は166~355Hz前後に常時変調していた。一方、高周波は0.45~0.71v/mであった。数値だけ見ると低周波は低くない値である。
 新型になってその数値はどうなったかも注目した。
 さて、測定したクルマは2009年に発表されたトヨタの3代目新型プリウスで非常に入気の車種である。
 ブリウスに乗り込みエンジンをかける、といってもスイッチを押す最近のタイプで、エンジンがかかるというより、電化製品のようにスイッチが入る。するとインパネにさまざまな数値が浮き上がる。


 始動時はとにかく静かであった。エンジンがかかっているかのわからないほどだ。もっとも、ブリウスはスタート時にはモーターだけで走行するので基本的にはエンジン音はしない。
 高血圧のことを「サイレントキラー」とも呼ぶが、ある耳の不自由な方が、ハイプリッドカーは静かに忍び寄り礫かれそうになるので、ハイブリッドカーこそ「サイレントキラー」であると言った言葉を思い出した。

 さて、ドライブモードでスタートする。ここで低周波が2.0mG前後に上昇する。スピードをとげていくにつれて低周波は上昇していき、一時に29~5.1mGとなるがさらに上昇し、安定走行に入ると、10.5~12.2mGまでになった。停止中でも低周波は11.0~12.6mGという高い値で安定していた。
 実は測定をスタートして(プリウスに乗り走り始めて)約30分くらいしてくると、測定をした筆者の体調が変化してきた。次第に頭痛がしてきたのだ。それは締め付けられるような痛みであった。
 これまで何度も測定の依頼を受け、電磁波の演掟をするがその際、電磁波の高いところは時間の経過とともに頭が重くなり、さらに時聞が経つとズキズキするようになることがあった。
 今回の場合はいつもより強い感じがした。特にウインカーやハザードなど方向指示器を点灯させると、低周波が1.1~9.2mGと大きく変化し、その点滅に合わせて頭が締め付けられるようになった。
 約1時間ほど事務所の周囲を走行し測定をしたが終了時には非常に体が重くなり倦怠感に襲われた。
 測定時には食品と暮らしの安全の中戸川さんが運転したが、もしこれが自分の車で自分が運転しなければならないなら、果たして1時間以上運転できるだろうかとも考えた。

 実は筆者は14年以上使用し18万キロ走った車を買い換えたのだが、一時エコカー減税などの利点があるのでこれらのエコカーへの乗り換えを考えた。しかし,結局ガソリン車にした。
 それはあるクルマ屋さんの話で「エコカーは燃費を向上させるために車体を軽くしている。だから鉄板は薄く、ペコペコだ。もしも事故が起きたときのことを考えたらどうかな?」ということであった。
 もちろん、車体のことや電磁波だけの問題ではないが、ガソリン車にしてよかったと改めて感じた。
 エコロジー対策は確かに素晴らしいことだと思う。しかし、個人的には強い電磁波を受けながら運転する現状のエコカーには乗りたくないと思った。

(文・鮎川哲也)

『電磁波研会報 №62』(2010/1/31)