第四部
第28条
1 人権委員会(以下「委員会」という。)を設置する。委員会は、18人の委員で構成するものとして、この部に定める任務を行う。
2 委員会は、高潔な人格を有し、かつ、人権の分野において能力を認められたこの規約の締約国の国民で構成する。この場合において、法律関係の経験を有する者の参加が有益であることに考慮を払う。
3 委員会の委員は、個人の資格で、選挙され及び職務を遂行する。

第29条
1 委員会の委員は、前条に定める資格を有し、かつ、この規約の締約国により選挙のために指名された者の名簿の中から秘密投票により選出される。
2 この規約の各締約国は、1人又は2人を指名することができる。指名される者は、指名する国の国民とする。
3 いずれの者も、再指名される資格を有する。

第30条
1 委員会の委員の最初の選挙は、この規約の効力発生の日の後6箇月以内に行う。
2 第34条の規定に従って空席(第33条の規定により宣言された空席をいう。)を補充するための選挙の場合を除くほか、国際連合事務総長は、委員会の委員の選挙の日の遅くとも4箇月前までに、この規約の締約国に対し、委員会の委員に指名された者の氏名を3箇月以内に提出するよう書面で要請する。
3 国際連合事務総長は、2にいう指名された者のアルファベット順による名簿(これらの者を指名した締約国名を表示した名簿とする。)を作成し、名簿を各選挙の日の遅くとも1箇月前までにこの規約の締約国に送付する。
4 委員会の委員の選挙は、国際連合事務総長により国際連合本部に招集されるこの規約の締約国の会合において行う。この会合は、この規約の締約国の三分の二をもって定足数とする。この会合においては、出席しかつ投票する締約国の代表によって投じられた票の最多数で、かつ、過半数の票を得た指名された者をもって委員会に選出された委員とする。

第31条
1 委員会は、1の国の国民を2人以上含むことができない。
2 委員会の選挙に当たっては、委員の配分が地理的に衡平に行われること並びに異なる文明形態及び主要な法体系が代表されることを考慮に入れる。

第32条
1 委員会の委員は、4年の任期で選出される。委員は、再指名された場合には、再選される資格を有する。ただし、最初の選挙において選出された委員のうち9人の委員の任期は、2年で終了するものとし、これらの9人の委員は、最初の選挙の後直ちに、第30条4に規定する会合において議長によりくじ引で選ばれる。
2 任期満了の際の選挙は、この部の前諸条の規定に従って行う。

第33条
1 委員会の委員が一時的な不在以外の理由のためその職務を遂行することができなくなったことを他の委員が一致して認める場合には、委員会の委員長は国際連合事務総長にその旨を通知するものとし、同事務総長は、当該委員の職が空席となったことを宣言する。
2 委員会の委員が死亡し又は辞任した場合には、委員長は、直ちに国際連合事務総長にその旨を通知するものとし、同事務総長は、死亡し又は辞任した日から当該委員の職が空席となったことを宣言する。

第34条
1 前条の規定により空席が宣言された場合において、当該宣言の時から6箇月以内に交代される委員の任期が満了しないときは、国際連合事務総長は、この規約の各締約国にその旨を通知する。各締約国は、空席を補充するため、2箇月以内に第29条の規定により指名された者の氏名を提出することができる。
2 国際連合事務総長は、1にいう指名された者のアルファベット順による名簿を作成し、この規約の締約国に送付する。空席を補充するための選挙は、この部の関連規定に従って行う。
3 前条の規定により宣言された空席を補充するために選出された委員会の委員は、同条の規定により委員会における職が空席となった委員の残余の期間在任する。

第35条 委員会の委員は、国際連合総会が委員会の任務の重要性を考慮して決定する条件に従い、同総会の承認を得て、国際連合の財源から報酬を受ける。

第36条 国際連合事務総長は、委員会がこの規約に定める任務を効果的に遂行するために必要な職員及び便益を提供する。

第37条
1 国際連合事務総長は、委員会の最初の会合を国際連合本部に招集する。
2 委員会は、最初の会合の後は、手続規則に定める時期に会合する。
3 委員会は、通常、国際連合本部又はジュネーブにある国際連合事務所において会合する。

第38条 委員会のすべての委員は、職務の開始に先立ち、公開の委員会において、職務を公平かつ良心的に遂行する旨の厳粛な宣誓を行う。

第39条
1 委員会は、役員を2年の任期で選出する。役員は、再選されることができる。
2 委員会は、手続規則を定める。この手続規則には、特に次のことを定める。
(a) 12人の委員をもって定足数とすること。
(b) 委員会の決定は、出席する委員が投ずる票の過半数によって行うこと。

第40条
1 この規約の締約国は、
(a)当該締約国についてこの規約が効力を生ずる時から1年以内に、
(b)その後は委員会が要請するときに、この規約において認められる権利の実現のためにとった措置及びこれらの権利の享受についてもたらされた進歩に関する報告を提出することを約束する。
2 すべての報告は、国際連合事務総長に提出するものとし、同事務総長は、検討のため、これらの報告を委員会に送付する。報告には、この規約の実施に影響を及ぼす要因及び障害が存在する場合には、これらの要因及び障害を記載する。
3 国際連合事務総長は、委員会との協議の後、報告に含まれるいずれかの専門機関の権限の範囲内にある事項に関する部分の写しを当該専門機関に送付することができる。
4 委員会は、この規約の締約国の提出する報告を検討する。委員会は、委員会の報告及び適当と認める一般的な性格を有する意見を締約国に送付しなければならず、また、この規約の締約国から受領した報告の写しとともに当該一般的な性格を有する意見を経済社会理事会に送付することができる。
5 この規約の締約国は、4の規定により送付される一般的な性格を有する意見に関する見解を委員会に提示することができる。