「国連女性差別撤廃委、日本政府に勧告」

国連委:女性再婚の制限撤廃を 

日本に行動を勧告 

 【ニューヨーク小倉孝保】 国連女性差別撤廃委員会は20日、日本の女性差別の現状に関する最終見

解を出した。

 見解で同委員会は日本に対し、女性が離婚後、6カ月しないと再婚できない民法733条の規定を撤廃

するためただちに行動することなどを勧告した。日本政府は今後、同勧告に従って国内法の整備などを急

ぐ必要がある。

 最終見解ではまず、過去の委員会勧告が順守されていないとして、早急に対応すべきだと日本政府の対

応に不満を表明した。そのうえで、

 民法733条の規定撤廃のほか、性別による結婚可能年齢差の解消

 ▽男女の役割や責任を巡る旧態依然とした考えをなくすための教育の徹底

 ▽家庭内暴力を含む女性への暴力を解消するための具体的措置の促進

 ▽女性へのレイプや暴力を含むビデオ、ゲーム機の禁止

 ▽従軍慰安婦問題の解決のための努力

 ▽政治への女性の参加促進
 
--などを求めた。


 同委員会は先月23日、日本の政府報告書についての審査を行い、差別撤廃が十分に進まない現状に厳しい意見が相次いでいた。日本は85年、女性差別撤廃条約を批准し、4年ごとに報告書を提出している。条約批准国は委員会の勧告に従う必要がある。


 ◇ 国内団体から対応求める声
 国連の勧告を受け、民法733条の見直しに取り組んできた国内の団体からは、日本政府に真剣な対応を求める声が相次いだ。

 民法733条と密接に関連のある民法772条(離婚後300日規定)により、息子が一時無戸籍状態になった経験を持つ「無戸籍児家族の会」の川村美奈・東日本支部代表(41)=東京都墨田区=は「今はDNA鑑定などの科学的証明で父親を特定することができる時代。女性だけに再婚禁止を課すのは不平等な印象がぬぐえない」と勧告を歓迎した。

 また733条は「時代にそぐわない」として、撤廃を求め続けているNGO「民法改正情報ネットワーク」(mネット)=東京都港区=の坂本洋子共同代表は「日本政府がこれまで何もしてこなかったことの証しだ。国連からの勧告は重く、真摯(しんし)に受け止めて早急に改正してほしい。衆院選後の政権の前向きな取り組みを期待している」と語った。【工藤哲】

『毎日新聞』(2009年8月21日)
http://mainichi.jp/select/today/news/20090821k0000e030054000c.html