「杉並区「使えない」扶桑社版教科書を再び採択!」
新しい歴史教科書をつくる会編集の扶桑社版教科書採択に断固として抗議し、
採択の撤回、採択手続きのやり直しを要求する
子どもと教科書全国ネット21
杉並区教育委員会は、本日8月12日、新しい歴史教科書をつくる会(「つくる会」)編集の扶桑社版歴史教科書を再び採択した。私たちはこの暴挙に怒りを込めて抗議し、採択の撤回・やり直しを要求する。
扶桑社版歴史教科書は、私たちがこれまでも繰り返し批判してきたように、歴史学の成果を無視した特異な内容で、歴史事実に誤りの多い、極めて問題のある教科書である。この教科書は、日本の歴史を天皇中心に描き、歴史を支え重要な役割をはたした民衆、この教科書で学ぶ子どもたちの祖先である民衆がほとんど描かれていない。また、日本の植民地支配や侵略戦争を正当化・美化し、日本の戦争の加害や被害をほとんど書いていない。戦争そのものを正当化し、日本国憲法を敵視している。歪曲した歴史によって育まれる「愛国心」はきわめて危険なものであることは歴史の教訓である。戦争肯定など歪曲した歴史を子どもたちに刷り込むことによって、子どもたちを「戦争をする国」の忠実な国民に育てることをねらいとするものである。こうした内容は、扶桑社自身さえ「各地の教育委員会の評価が低く、右寄り過ぎ」る、と認めているものである。
扶桑社版教科書は、内容上に重大な問題があるだけではない。教育的な面からみても、子どもの学習に支障きたす、ふさわしくないものである。私たちは、扶桑社版教科書に多くの間違いがあることを指摘してきたが、扶桑社はそれらをまったく訂正していない。2008年度の教科書検定において、文部科学省は扶桑社版歴史教科書と全く同じ記述をした自由社版歴史教科書に対して、少なくとも8か所の誤りを指摘し、修正させている。扶桑社版には文科省が2004年度の検定において見落としたと思われるこれらの誤りがそのまま記述されている。扶桑社版を使用している区内の教員が扶桑社に対して間違いを指摘しても訂正していない。他社は間違いが見つかった場合には毎年末までに訂正しているが、扶桑社は「文部科学省の検定に合格しているので訂正の必要はない」とこの3年間一度も訂正してこなかった。
杉並区教育委員会は、こうした多くの誤りのある教科書を今後さらに2年間、子どもたちに使わせることを決定したわけである。
加えて、「つくる会」は06年に分裂し、扶桑社版教科書の著作権をめぐって裁判で争うなどの醜い抗争をつづけている。また、「つくる会」は2000年と2005年に独占禁止法違反を指定された時、「自分たちは教科書作りの発意者にすぎないと」、監修者・執筆者の理事は「あくまで一研究者として参加している」と弁明して独禁法違反から逃れた。ところが、この裁判の準備書面では、扶桑社版教科書は「つくる会」が執筆者の選定から記述の隅々まで理事会が責任をもって行ったと述べている。これは完全な二枚舌である。
このように、子どもや教育そっちのけで争いを続け、嘘や二枚舌を平気で使う無責任な団体が編集した教科書を使いつづけることは、子どもたちの教育を考えても重大な問題である。
杉並区教育委員会が、2005年に「つくる会」の扶桑社版教科書を採択したことに対し、区民はもとより日本各地の市民や諸団体、韓国をはじめアジアの人びとや団体から、多くの抗議や批判が寄せられてきた。さらに、今回の採択にあたっても、区民をはじめ、全国各地、アジアの多くの人びとや団体から、扶桑社版の使用をやめること、自由社版も採択しないことを求める要請が多数寄せられていた。しかし、杉並区教育委員会はこうした声を完全に無視して、扶桑社版の採択を強行した。
杉並区の教育に責任を負う教育委員会が、子どもや教育のことを考慮しないで、政治的な判断のみで、“非教育的”で無責任な教科書採択を強行した暴挙に対して、私たちは、断固として抗議するとともに、採択の撤回・やり直しを要求するものである。
2009年8月12日
以上。
子どもと教科書全国ネット21
代表委員:石田米子・尾山宏・小森陽一・高嶋伸欣・田港朝昭・
鶴田敦子・西野瑠美子・藤本義一・山田朗・渡辺和恵
〒102-0072 東京都千代田区飯田橋2-6-1 小宮山ビル201
℡:03-3265-7606 Fax:03-3239-8590
新しい歴史教科書をつくる会編集の扶桑社版教科書採択に断固として抗議し、
採択の撤回、採択手続きのやり直しを要求する
子どもと教科書全国ネット21
杉並区教育委員会は、本日8月12日、新しい歴史教科書をつくる会(「つくる会」)編集の扶桑社版歴史教科書を再び採択した。私たちはこの暴挙に怒りを込めて抗議し、採択の撤回・やり直しを要求する。
扶桑社版歴史教科書は、私たちがこれまでも繰り返し批判してきたように、歴史学の成果を無視した特異な内容で、歴史事実に誤りの多い、極めて問題のある教科書である。この教科書は、日本の歴史を天皇中心に描き、歴史を支え重要な役割をはたした民衆、この教科書で学ぶ子どもたちの祖先である民衆がほとんど描かれていない。また、日本の植民地支配や侵略戦争を正当化・美化し、日本の戦争の加害や被害をほとんど書いていない。戦争そのものを正当化し、日本国憲法を敵視している。歪曲した歴史によって育まれる「愛国心」はきわめて危険なものであることは歴史の教訓である。戦争肯定など歪曲した歴史を子どもたちに刷り込むことによって、子どもたちを「戦争をする国」の忠実な国民に育てることをねらいとするものである。こうした内容は、扶桑社自身さえ「各地の教育委員会の評価が低く、右寄り過ぎ」る、と認めているものである。
扶桑社版教科書は、内容上に重大な問題があるだけではない。教育的な面からみても、子どもの学習に支障きたす、ふさわしくないものである。私たちは、扶桑社版教科書に多くの間違いがあることを指摘してきたが、扶桑社はそれらをまったく訂正していない。2008年度の教科書検定において、文部科学省は扶桑社版歴史教科書と全く同じ記述をした自由社版歴史教科書に対して、少なくとも8か所の誤りを指摘し、修正させている。扶桑社版には文科省が2004年度の検定において見落としたと思われるこれらの誤りがそのまま記述されている。扶桑社版を使用している区内の教員が扶桑社に対して間違いを指摘しても訂正していない。他社は間違いが見つかった場合には毎年末までに訂正しているが、扶桑社は「文部科学省の検定に合格しているので訂正の必要はない」とこの3年間一度も訂正してこなかった。
杉並区教育委員会は、こうした多くの誤りのある教科書を今後さらに2年間、子どもたちに使わせることを決定したわけである。
加えて、「つくる会」は06年に分裂し、扶桑社版教科書の著作権をめぐって裁判で争うなどの醜い抗争をつづけている。また、「つくる会」は2000年と2005年に独占禁止法違反を指定された時、「自分たちは教科書作りの発意者にすぎないと」、監修者・執筆者の理事は「あくまで一研究者として参加している」と弁明して独禁法違反から逃れた。ところが、この裁判の準備書面では、扶桑社版教科書は「つくる会」が執筆者の選定から記述の隅々まで理事会が責任をもって行ったと述べている。これは完全な二枚舌である。
このように、子どもや教育そっちのけで争いを続け、嘘や二枚舌を平気で使う無責任な団体が編集した教科書を使いつづけることは、子どもたちの教育を考えても重大な問題である。
杉並区教育委員会が、2005年に「つくる会」の扶桑社版教科書を採択したことに対し、区民はもとより日本各地の市民や諸団体、韓国をはじめアジアの人びとや団体から、多くの抗議や批判が寄せられてきた。さらに、今回の採択にあたっても、区民をはじめ、全国各地、アジアの多くの人びとや団体から、扶桑社版の使用をやめること、自由社版も採択しないことを求める要請が多数寄せられていた。しかし、杉並区教育委員会はこうした声を完全に無視して、扶桑社版の採択を強行した。
杉並区の教育に責任を負う教育委員会が、子どもや教育のことを考慮しないで、政治的な判断のみで、“非教育的”で無責任な教科書採択を強行した暴挙に対して、私たちは、断固として抗議するとともに、採択の撤回・やり直しを要求するものである。
2009年8月12日
以上。
子どもと教科書全国ネット21
代表委員:石田米子・尾山宏・小森陽一・高嶋伸欣・田港朝昭・
鶴田敦子・西野瑠美子・藤本義一・山田朗・渡辺和恵
〒102-0072 東京都千代田区飯田橋2-6-1 小宮山ビル201
℡:03-3265-7606 Fax:03-3239-8590