東京都杉並区の教育委員会は12日午後、2010年度からの2年間、区立中学で使う歴史教科書に、

侵略戦争を正当化する「新しい歴史教科書をつくる会」が主導する扶桑社版を採択しました。


 同区教委の扶桑社版採択は2005年に続き2回目。


 扶桑社版教科書は太平洋戦争を「大東亜戦争」と表記し「この戦争は『自存自衛』のための戦争」と記

述するなど、事実をゆがめる内容になっています。

 5人の委員で構成する教育委員会の定例会では、安本ゆみ委員だけが「世界の歴史との関連で日本を見

る視点が弱い。戦後史が少なすぎる」「現場教師の異論もある」としてつくる会」教科書に反対しまし

た。

大蔵雄之助教育長は「現場教師全員の意見を聞いたのか」などと発言。

多数決で採択しました。


  << 父母・教師・研究者らが抗議集会 >>

 区役所前では不採択を求める集会が開かれ、同日夜、杉並区内で抗議集会を開きました。

 抗議集会には120人が参加し、「採択の撤回、採択手続きのやり直しを要求する」との抗議文を大き

な拍手で採択し、引き続き運動を広げていくことを確認しました。

 集会では区教委定例会を膨張した5人が、定例会の様子を詳しく報告。「委員は強圧的だった。一人を

除いて委員が子どものことを真剣に考えているのか疑問になった。」などと感想を述べました。

 子どもと教科書ネット21の石山久男常任運営委員が「つくる会」教科書をめぐる最近の動向について

講演。

 会場から「教員の意見を尊重する教科書採択制度となるよう世論に訴えたい」などと発言されました。



【資料】

 戦後64年を経ても尚、日本政府は、第2次世界大戦の人道の罪をいまだ正式に認めず、さらに未来を

になう子どもたちに歴史の真実を教えず、虚偽の歴史を刷り込むことを容認しています。

 // 国連の、従軍慰安婦問題に関する勧告:パラグラフ22を掲載しました。//

 ジュネーブにて:自由権規約委員会第94回会期 2008年10月13日~31日
 日本より提出された第5回定期報告審査
 自由権規約委員会による日本政府に対する最終見解 (パラグラフ22 /全34中 )

22.委員会は、締約国が第二次世界大戦中の「慰安婦」問題に対して未だ責任を認めておらず、犯罪実行者は起訴されず、また、犠牲者に支払われた補償は公的基金ではなく民間からの寄付金により財源化され、それは不十分であり、そして歴史教科書には殆ど「慰安婦」問題が言及されず、何人かの政治家やマスコミは犠牲者を誹謗中傷し、あるいはこの事実を否定し続けることに、懸念を持って記す。(第7条、8条)

     締約国は法的責任を認め、犠牲者の多数に受け入れられ、また彼女らの尊厳を回復する意味において、「慰安婦」問題に対して無条件に謝罪し、いまだ生存している犯罪実行者を起訴し、権利の問題として、すべて生存者に対して十分な補償を行う早急で有効な法的かつ行政的な措置を取り、この問題について学生や一般市民を教育し、犠牲者を中傷あるいは事実を否定するあらゆる企てに反論して制裁すべきである。