< 毎日新聞 11日朝刊 解説より >

「番組内容に認定制度」を答申

  放送の自由侵す懸念


 総務省情報審議会の検討委員会が10日まとめた答申案は、放送免許の交付に当たって政府が番組内容

を直接審査できる認定制度の導入を盛り込んだが、放送の自由を保障する立場からは大きな懸念がある内

容だ。
 
 答申案によると認定制度の対象はテレビやラジオの地上放送。

現在は電波を送る施設(無線局)の運営に対して放送免許を交付しているが、無線局(ハード)と放送番

組(ソフト)の2つに分離する行政手続の導入を提言した。

 海外の先進国では、いずれも、政府から独立した行政委員会が放送行政を所管している。

日本のように、政府が直接所管している現状に加え、答申案が示したような番組に踏み込んで規制できる

仕組みは類例がない。

 答申案について国民から募った意見では認定制度について、「(表現の自由を保障した)憲法21条に

抵触する恐れが強い」(民法労連)などの批判が寄せられた。

「(放送行政を監督する)行政機関の抜本的見直しが不可欠だ」(メディア総合研究所)との意見もあっ

た。

しかし、検討委は、懸念を解決しないまま答申案をまとめた。

総務省は来年の通常国会への関連法案提出へ向け、作業を始めるという。

認定制度を導入するというのであれば、独立行政委員会への放送行政移管を含めた再検討を行うべきだ。