■ 国公法弾圧堀越事件は、すでに東京高裁での控訴審も終盤に入っています。

 地裁段階から、当会は弁護団や支援団体などとともに、検察や裁判所に対して繰り返し証拠の全面開示

を要請してきました。

しかし、33本はあると法廷で証言されている警察の違法捜査による盗撮ビデオのうちで、地裁公判

において開示されたのはたった9本だけです。

私たちの「全ての盗撮ビデオを証拠開示せよ」という要求に対して、警察・検察はもちろん裁判所も開示

命令を出さず、背を向け続けてきました。



 いよいよ8月3日から裁判員裁判が始まりましたが、現時点においても、日本の刑事事件に関する裁判

員制度でも、『検察にとって不利な証拠は隠しておいても良い』ことになっています。

検察にとって不利な証拠を開示させないまま裁判を行うことによって裁判官も公正な判断をせず、いまだ

に日本のの冤罪の温床も取り払われていません。

裁判員裁判において国民の信頼を得るためには、『証拠の全面開示』は『取調べの全面可視化』とともに

車の両輪のごとく重要です。

 国民の中から選ばれた裁判員は、警察・検察にとって都合の良い証拠だけでは、公正な判断をすること

ができず、冤罪の協力者になりかねません。




 当会では、昨年国連の勧告を手にして以来、国公法弾圧堀越事件については8回にわたって、証拠開示

と無罪判決を求める高裁要請・署名提出行動を行ってきました。

 中山裁判長も、これらのビデオを『見てみたい』との意向を示しているとのことです。


■ 証拠開示請求も山場を迎えています。


裁判員裁判は、肝心の取調べの全面可視化や証拠の全面開示を制度化しないままスタートしてしまいまし

た。政治的な弾圧事件を許さず、冤罪を生まない公正な裁判を行うためには、科学的な証拠の全面開示は

不可欠です。

堀越さんたちを盗撮した、公安警察が隠し続けている24本の盗撮ビデオを必ず開示させるよう中山裁判

長が開示命令を出すことが大変重要な局面に入っています。

 公正な裁判で、堀越明男さんの無罪判決を勝ち取るために、これまで以上に広範な多くのみなさまの署

名と要請行動・裁判傍聴へのご協力ご参加をいただきますようよろしくおねがいします。



【 国公法弾圧堀越事件 控訴審 第11回公判と、当会裁判所要請行動のご案内 】

 9月16日(水) 午後1時15分 開廷

 東京高裁 102号法廷

 ★ 公判に先立って、16日公判当日の午前10:45分~ 当会の裁判所要請高度を行います。★
   集合時間 10:30
   集合場所 東京高裁正面の門を入って5メートルほど先 右手


 <第11回公判の証人は、早稲田大学 法学学術院所属 曽根 威彦(そね・たけひこ )教授で、

 刑法学者の立場から証言し、「懲戒処分と刑事処分の違い」など、この事件の本質に迫ります。>


 ※ 堀越さんが、休日にマンションの集合ポストなどに「憲法9条は日本の宝です。」というビラを配

布したことは全く犯罪などではなく、当然、所属省庁の処分も行われていません。

 犯罪などではなく、むしろ国民の模範となる行為に対して、警察・検察が、大掛かりな不法捜査の上、

政府に批判的な政治的ビラの配布を犯罪にでっち上げ、しかも裁判所まで追認しむりやり刑事罰を科した

言論弾圧の事件です。


■ 堀越さんの無罪判決を勝ち取るために、これまで支援をいただいている皆さんとともに、司法を学ん

でおられる学生の皆さん、裁判員裁判・制度に関心をお持ちの多くの皆さんに、国公法弾圧堀越事件の裁

判勝利に対するご支援と傍聴を重ねてお願いいたします。

 

■ 資料

昨年の10月、国連の規約人権委員会から日本政府に対して下記の勧告(パラグラフ6~10と26

を一部抜粋:全文は、当会ブログ「国連」のコーナーに掲載中)が出されています。


C・主要な懸念項目と勧告
 
6.委員会は、締約国の第4回定期報告の審査後に出された多くの勧告が、未だ実行されていないことに
 
  懸念を有する。

    締約国は前回の最終勧告同様、委員会により採択された今回の勧告を実行しなければならない。

7.委員会は、規約への違反が無いとした最高裁判決以外で、規約の条項(第2条)に直接言及する地方

  裁判決に関する情報の欠如を提示する。

    締約国は、規約の適用や解釈が裁判官や検事及び弁護士に対する専門研修として持たれ、そして

  規約の情報が下級審を含むすべてのレベルの司法界に広まるよう保証せよ。
 
8.委員会は、締約国が規約の第一選択議定書を批准しないひとつの理由として、批准することによっ

  て、司法の独立性を含む司法制度に問題を生じさせるかも知れないという懸念であることを提示す

  る。

    締約国は、委員会の普遍的な法体系が4審目の訴えではなく、事実や証拠の正当な評価や裁判所

  による国内法の適用や解釈を検討することが、原則として妨げられていることを考慮しながら、選択

  議定書を批准するよう検討せよ。

9.委員会は、締約国が未だ独立した国内人権施設を設立していないことを懸念する。(第2条)

    締約国はパリ原則(総会決議48/134、付属文書)に従い、締約国により受け入れられた国

  際的な人権基準を網羅する広範な委任を行い、公権力による人権侵害に対する訴えを検討し行動する

  能力を持った政府機関ではない独立した国内人権施設を設立せよ。また、この施設のために十分な財

  政的および人的資源を計上せよ。

10.「公共の福祉」は人権に恣意的な制約を掛ける根拠として頼られているのではない、と言う締約国

  の説明に注意を払いながら、委員会は、「公共の福祉」の概念は曖昧かつ範囲が大まかで、規約の基

  では可能な範囲を超える制約を許すことになると、その懸念を繰り返す。(第2条)

     締約国は、「公共の福祉」の概念を定義し、「公共の福祉」を根拠に、規約で保証された権利

  に与えるいかなる制約を特定する法律を採択すべきだ。


26.委員会は、公職選挙法の下、事前選挙運動期間中に配布される文書の枚数や形式に対する制限と同

  じく、戸別配布の禁止のような、表現の自由や公的な活動に参加する権利に対しての不合理な制限

  に、懸念を有している。また、政治活動を行った者や公務員が、政府を批判する内容のビラを個人の

  郵便受けに配布したことにより、住居侵入罪あるいは国家公務員法で逮捕され、起訴される報告に関

  して懸念を抱く。(第19条、25条)

     締約国は、規約第19条及び25条で保証されている政治運動や活動を、警察や検察官、そし

  て裁判所か不当に制限することを防ぐために、表現の自由や公的な活動に参加する権利を不合理に制

  限している法律を撤回すべきである。