舞台は70年代アメリカ南部。
高校のアメフト部と、地域を徘徊する知的障害のある黒人青年。
このキーワードだけで、明るい結末を想像するのは難しい。
この映画は実話に基づいているというのが驚き。
インクルーシブなんて言葉が無い時代に、知的障害者を学校へ招き入れ、成長を共にした教師がいたことを知る。
今ではインクルーシブ教育が公共のものとして整備されている国だけど、70年代は障害児・障害者が学校にいるなんてありえない!という空気だったんだね。
私の娘にも知的な遅れや発達の凸凹、身体の不自由さがある。
また別の機会に書くかもしれないけれど、学校生活で心身を崩し1年生の終わりから学校へ行けなくなり療養中。
70年代の学校長や関係者の知的障害者への偏見や、不安視。
娘の学校とやりとりしてきて、会話からひしひし感じたこととかなりオーバーラップした。
アメフト部コーチ以外の大人たちの、支援でも共存でもなく「監視」という発想。
未知のもの、自分と違うから、そういう風に構えられてしまう。
映画の中では、アメフトコーチの情熱と行動、そして知的障害の青年が自己表現する過程で周囲の人たちの理解が増し、味方は増えていく夢のある話。
しかし、このコーチの存在なくこの青年が学校に受け入れられることは本当に難しい。
こんなふうに信念のある個人が動いて、それが点となり、他の点とつながって線となり、やがてシステム全体が変化していくんだなと。
その始まりの点の部分を、とても魅力的にみせてくれる映画でした。
この映画を観ようと思ったきっかけは、こちらの記事です↓
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