最寄りの市立病院へ、小児科や耳鼻科の診察を受けに行った時のこと。

 

診察が終わっても、「せんせい会う!」「せんせい とこ いく!」という娘。

 

さっき、小児科も耳鼻科も先生に会ったよ。

 

また会いたいの?

 

「....。」

 

別の棟の方へ行きたがる娘。

 

変だなと思っていて、しばらくしてハッと気づいた。

 

 

この市立病院では、1歳のPVL診断直後から月2回ペースで1年ほどPT(リハビリ訓練)に通っていた。

 

何度行っても娘が男性のPT先生(理学療法士さん)に懐かず、逃げて号泣、体を触られるのもイヤ!

 

仕方なく、泣きながら体を触ってもらうか、私がスマホで普段の娘がどんな動きを

しているか見せて、それに対してアドバイスをもらう程度。

 

おもちゃを気に入って遊び出したら、先生が柱の影からそれを観察したり。

いま思うと、なかなか怪しいシチュエーションだった 笑。

 

このPT先生は大きな声ではっきり説明する人で、私の質問に対して

「ここがこうだから歩けないんです」とか。

「まだ〜出来ないから、歩けるのはもっと先」「ここの筋力が弱い」

「かかとが倒れてる」「発達は進んでも、また少し停滞する」などなど。

 

早く歩いてほしいという私の焦りを感じて、先生は諭してくれていたのかもしれないけど、

娘にはネガティブな言葉がそのまま聞こえてしまっていた。

 

1歳を過ぎて、大人の言ってることをある程度理解できるようになってきた娘。

 

自分が歩けない事を意識し始めた頃でもあり、一番辛い場所になってしまって

いたのかもしれない。

 

そしてある日。

このPT先生は、娘の体のことを見てアドバイスはくれるけど、心の成長や葛藤には

全く意識が行っていないんだな、と気づけた事があって、転院を決意。

 

 

その後、現在お世話になっている静岡の病院でPTを受け始めて

私は目からウロコ。

 

こんなに楽しそうにPT訓練を受けられるなんて!

衝撃だったし、本当に嬉しかった。

 

そのタイミングで、娘の独歩が始まり。(2歳9カ月の頃)

娘本人も、ますますPTが楽しくて仕方ない様子。

 

市立病院のPTでおもちゃを置いてなんとなく遊ぶリハビリと比べて、

静岡で受けるボイタのPT訓練は結構ハードな気がするけど、それでも娘は

水を得た魚のように楽しんで、毎週PT(とOT)に行く日を心待ちにしている。

 

私は、やっと娘に合う場所を見つけられたとホッとしたのと同時に、

前のPT先生のことなどすっかり忘れてしまった。

 

 

さて、前置きがすごく長くなりました。

 

私が気づいたのは、娘が以前のPTの先生に会いたがっているということ。

 

訓練室に入ると顔が歪んで、近づくと泣いていたのに?

私としては、あんな苦手だった先生に会いたがるのが不思議で仕方なかったのだけど、

 

まさか

 

「○○ちゃん、先生に歩けるところを見せたいの?」

 

「うん」

 

「じょうずに あるけるよー ってやりたい。」

 

ああ、すごく悔しかったんだね。

 

 

自分の希望で転院した身としては、リハビリ室にいきなり挨拶に行くのも

乗り気でないし。アポとって会うほど、必要な理由もないし。

 

娘は、褒めてもらいたいんだろう。

 

もし会えたとしても、先生が期待するようなリアクションをしてくれる気がしない。

だから転院したわけで。

 

現在通っているPTにすっかり満足な私は、

娘がいまだに前の先生のことをこんなに意識していること、

歩ける自分を認めてほしいことに気づいて、なんだか苦しくなった。

 

どうするのがいいんだろう?

一度でも会ったら、娘はスッキリするのかな?(私は会いたくない 笑)

もし会っても、優しい対応してくれるかも分からず、娘の心が心配。

 

それからさらに、数ヶ月後、

気管支炎で市立病院の夜間診療にお世話になった時も、ハアハア苦しい呼吸のさなか

 

「せんせい あいたい」

 

という娘。

 

ねばり強い(笑)

 

「夜遅いから、先生もうおうち帰っちゃったよ」と、諦めてもらった。

 

これからも時々お世話になる市立病院。

 

行くたびにこの会話をするのかと思うと、どうするのが良いのか

ちょっと悩んでしまう。(私は、会いたくない!!笑)

 

 

これからも、こういう悔しい思いをたくさんするだろうし、

 

何年か経ってから、あの人を見返したい!なんていう事も出てくるかもしれない。

 

体を使うことに関しては、どう頑張っても、人より遅いペースになってしまう。

 

負けず嫌いで頑張り屋の娘が、これから悔しい気持ちとどうやって

折り合いをつけて行ったら良いのだろう。

 

悔しさを個人的な関係で抱え込まずに、昇華できたらいいのに。

 

考えさせられる出来事でした。

 

2歳6カ月の娘(まだ市立病院のPTに通っていた頃)

砂浜をハイハイしてからエンジェルの羽パタパタ

 

大きく羽ばたこう!