こんなもの食えるものかと蟋蟀が叫びまわっているフライパン

蝶々から舞い降りてくる鱗粉は色とりどりのケバいレリッシュ

ウジムシがマゴットになりカフェにあるおしゃれな皿にされど蛆虫

幼虫はクリーミーだけど成虫はカリカリ固くおかきのごとく

 

昆虫食が話題になっています。実は、昆虫は昔から世界中で食べられていて、日本でも蜂などが食べられています。そういった伝統的な食べ物であればいいのだけど、昆虫食が救世主みたいに扱われて、押し付けがましいのはうんざりです。なんだか再生可能エネルギーと似たような空気を感じます。

レリッシュとは、英語で薬味という意味。蝶の鱗粉の薬味はきれいかも。

マゴットとはイエバエの幼虫のことで、ようするにウジムシです。きちんと養殖されたウジムシは、安全だそうです。そうはいってもウジムシですからね。気持ち悪いです。マゴットというとおしゃれな感じがするのがおもしろいところです。

 

各歌の最初の文字と最後の文字をつなげて、一首目から四首目までをつなげると、「こんちゅうしよく」となります。

初出かばん2024年11月号