青き空ときに激しき嵐をも八重山諸島にもたらしむ南風(はえ)

大いなる文明の跡がなぜそこに 海底遺跡にとまどう学者

消えるから心に残るものがある きらめく海のまぼろしの島

海を背に両の拳を高く挙げ世界に羽ばたくカンムリワシ

右側に走る車を左側に730(ななさんまる)はわずかに一夜(ひとよ)

のんびりと白き砂の道を行く水牛車からは見えぬ足跡

闇の中イリオモテヤマネコが鳴き光の中の文明を問う

 

 八重山諸島は、南西諸島の西部の石垣島をはじめとした島嶼群です。南西諸島は、九州南方から台湾にかけての島嶼群を指します。

 与那国島近くの海底に人工的に加工されたように見える石が多数あります。1万年前に水没したのであればそれ以前の遺跡ということになります。そんな太古の昔に文明が栄えていた? 自然に生まれたという説もあり、現在研究中だそうです。

 石垣島近くに引き潮のときのみ現れる幻の島があり、観光スポットとなっています。

 石垣島出身の英雄といえば具志堅用高です。ライトフライ級のボクサーで、13回防衛という日本記録を保持しています。石垣島の港に両手の拳を挙げた具志堅用高の像があります。ちなみにカンムリワシとは、沖縄に生息する猛禽類であり、その勇猛さから具志堅用高の愛称となっています。

 沖縄はかつてアメリカ領だったのが1972年に祖国に復帰しました。その後も車は右側通行だったのですが、1978年7月30日6時に左側通行に移行。たった一日で交通法規を変更したことのに大きな混乱はありませんでした。このことを記念碑として残しているのが石垣市の730交差点です。

 竹富島は、サンゴ礁の隆起によってできた島です。白い砂を行く水牛車が名物です。

 西表島は山がちな島で、かつてはマラリア発生地で人を寄せつけず、そのために多くの固有種が残されることになりました。イリオモテヤマネコは、独立種ではなくベンガルヤマネコの亜種だそうです。イリオモテヤマネコは西表島にしか棲息していないこともあって、絶滅危惧種となっています。

 私が行ったのは石垣島と竹富島だけです。白い砂浜とエメラルドグリーンの海が印象的です。機会があれば他の島にも行ってみたいですね。

 

一首目から七首目までの最初の文字に続けて一首目から七首目までの最後の文字をつなげると、「あおきうみのやえやましよとう」となります。

初出かばん誌2023年2月号