水星の日の出は不思議太陽が昇った後の動きは逆さ

金星は灼熱の地とうらはらに地球に見せる美しき様

地球とは太陽からの陽を受けて命はぐくむ唯一の場

火星への移住を阻む放射線、希薄な大気、汚れた土壌 

木星は星を束ねる重き星八十倍なら太陽の候補

土星の環薄く小さき塊は数億年の命儚し

天王星真横に自転半年も昼夜が続く軸の上と下

海王星となりの星のゆらぎから見いだされたる宇宙の轍

 

 太陽系の惑星は、遠くにある星とは違って地球から見るとさまよって見えます。地球はさまよっているわけではないのですが、太陽系の惑星の一員ということで仲間に入れました。以前は冥王星も惑星と呼んでいたのですが、冥王星を惑星と定義すると多数の小惑星もその定義に入ってしまうことから、今では冥王星は準惑星とされ、太陽系は八つの惑星となっています。

 水星、金星、地球、火星は、地球型惑星であって岩石惑星です。木星と土星は気体がメインの惑星で木星型惑星です。天王星と海王星は以前は木星型惑星といわれていたのですが、かなり岩石があることがわかり、天王星型惑星といわれています。

 

 水星は、太陽に最も近い惑星です。水星の特定の場所では、太陽が一度昇った後、沈み、再び昇るという現象がみられます。これは、自転の速度と公転の速度が一致することがあるためです。

 

 金星は、太陽、月に次いで最も明るく美しい星で、神話や民話で親しまれています。反面、硫酸の雲による温室効果により、太陽により近い水星よりも地表の温度が高いといわれています。

 今のところ、地球以外での生物の存在は確認できていません。金星の地表は高温高圧であり、生物が棲息できる環境ではありません。しかし、大気中のある高度では気温、気圧ともに地球上と似た環境で、生物が存在するとの説があります。また、水が存在する(あるいは存在した)火星には生物が存在するという説が根強くあります。さらに、木星や土星にも生物が存在する可能性がある衛星があります。もっとも、仮に生物が存在するとしても、微生物であって、地球のような高等生物は存在しているように思えません。残念ながら、太陽系の惑星には、我々人類が語り合えるような生物は存在していないようです。そういった意味で、地球とは命をはぐくむ唯一の場所といっていいのではないでしょうか。

 

 火星は地球からもっとも近い惑星で温度も南極程度であり、生物が存在する可能性があるといわれるぐらいですから、移住の可能性がある惑星であるといえるでしょう。しかしながら、火星の大気は生理学的には真空と同じであり、希薄な大気であるために放射線量が高く、生身の人間であれば1分間ももたないといわれています。さらには、火星表面には、過塩素酸塩、酸化鉄、過酸化水素などの成分が含まれることがわかっていて、これらの成分を含む土壌はバクテリアすら死滅するもので、生命を維持するには適さないものです。これらの条件を克服することができるのでしょうか。現実に火星に移住できるようになるのは、かなり先のことのようです。

 

 木星は太陽系で最も大きく最も重い惑星です。その質量により、自らの衛星のみならず他の惑星の動きにも影響を与えています。それでも太陽のような自ら輝く恒星となるには80倍もの質量が必要であるとのことです。恒星となるにはちょっと軽すぎました。

 

 土星はなんといっても環が特徴的です。この環は薄く厚みが数キロ程度。しかも、土星の引力圏から離れたり土星に吸収されたりして数億年後には消え去る運命だそうです。われわれが土星の環を見ることができるのは、ほんの束の間の幸運なことなのかもしれません。

 

 海王星は、自転軸が太陽を一周する平面、つまり公転する平面内にあります。他の惑星が公転する平面に対して直立しているのに対して、海王星は横になって転がっているイメージです。このように自転している理由は、隕石が衝突したとの説がありますが、よくわかっていないようです。ちなみに、極は太陽を1周する間、半年(公転周期は約5年です。)は陽があたりつづけ、半年は陽があたらない状態となります。つまり、一年の半分は昼で半分は夜となります。

 

 天王星は、海王星の軌道が計算された値よりもゆらいでいることから存在を予想されたものです。理論により存在が予測された太陽系唯一の惑星です。以前は冥王星も惑星と呼ばれていたのですが、準惑星と変更されました。天王星が太陽系の中で最果ての惑星となりました。

 

一首目から八首目までの終わりの言葉をつなげると、「さまようほしたち」となります。

初出かばん2021年12月号一部改変