はやぶさは惑星にある宝石を贈りとどけるミッション成就

矢を放ち少しの面がむき出しに少しの謎が解けたリュウグウ

ブーメランのごとくふたたびこの地球(テラ)へ科学と技術をさらなる高みへ

サンプルと科学を護るカプセルは摩擦熱をも耐える容れ物

2号機は初号機よりも増やしたる情報を得るセンシング機器

地球からスイングバイで飛び出した イオンエンジンさらなる強化

帰還して成果を挙げたはやぶさの点数つけると一万点

 

 1月20日、JAXA(宇宙航空研究開発機構)は無人探査機が月面に着陸したと発表しました。月面に着陸したのは、旧ソ連、アメリカ、インド、中国に続いて5ヵ国目だそうです。快挙ですが、はやぶさ2が世界で初めて惑星からサンプルを持ち帰ったことを考えると、少し物足りないですよね。

 はやぶさ2が地球に帰還したのは、2020年12月6日。3年以上前になります。はやぶさ2はJAXAが打ち上げた小惑星探査機です。ミッションは、小惑星リュウグウを探査しサンプルを持ち帰ること。はやぶさ2は、2014年12月3日に打ち上げられ、小惑星到着が2018年、そして2020年12月6日に地球に帰還し、ミッションを果たしました。

 大きなミッションとしては前述のとおりですが、小惑星リュウグウはC惑星と呼ばれ、水や有機物を有すると考えられています。そこで、持ち帰ったサンプルを分析して、生命や星の誕生の秘密を探ることもミッションの一つです。 

 はやぶさ2は、初号機の教訓を生かして、多くの改良がなされました。

 まず、初号機ではイオンエンジンのトラブルが多く、イオン源を変えて出力を大きくするとともに、長寿命化も可能としました。

 次に、リュウグウの表面に銅の塊を打ち込んで砂を舞い上げ、リュウグウから砂のサンプルを得るための衝突装置であす。JAXAのホームページによると、銅の塊は先が鈍角となっていて鋭くない。内部に爆薬を入れてリュウグウの表面で爆発させてサンプルを得るものです。ちなみに、矢の先端についている矢尻はどちらかといえば先が尖っているものが多いようですが、鈍角となっているものもあります。

 センシング機器とは、センサーと呼ばれる感知器などを使用して様々な情報を計測して数値化する技術の総称です。初号機は、とにかく無事に地球に帰還することが最大のミッションであったから、2号機は多くのサンプルを持ち帰るなおさらに上乗せしなければなりません。そのために、2号機は、カメラ、計測器などセンシング機器が充実したものとなりました。

 他にも多くの改良がなされていますが、私の手には余るので、残念ながら一部しか歌にできませんでした。詳しくはJAXAのホームページなどをご覧ください。

 スイングバイとは、惑星の動きを利用したロケットの航法です。ロケットが惑星に近づくと惑星の引力によりロケットは加速する一方で、離れると反対にロケットは減速します。エネルギー保存則により、加速と減速は等しくなります。しかし、実際には惑星は太陽の周りを公転しているので、ロケットの動きを惑星の動きに合わせて惑星の動きと反対になるようにすれば、ロケットは減速し、その反対であれば加速します。スイングバイとは、ロケットの動きを惑星の動きに合わせることにより、効率的にロケットを飛ばす方法です。

 困難を乗り越えて、はやぶさ2は初号機よりも大きな成果を上げたので、プロジェクトマネージャは、記者会見で「百点満点で一万点」と喜びの声をあげておられたので、そのまま歌にしました。

 各歌のはじめのことばにつづけて終わりの言葉をつなげると、「はやぶさ2ちきゆうへのきかん」となります。

 

初出かばん2021年2月号改変