半年間よろしくお願いいたします!(初出かばん2020年4月号・一部改変)

 

半分ずつ紙折り続け切り抜いてできる形に込めたる祈願

年が経ち比は小さくなるも年の差はいくつになっても変わることない

間隔をあけて植えたる植木算閉じた図の木は一本少ない

寄せたならクラス全員座れます 足りない長椅子追加しました

労働の単価は違えど人びとが協力すれば仕事は早し

塩水を足したり引いたり熱したり割合と量の値の狭間

くぐる前とくぐった後の距離の差は列車に加えトンネルを足す

多ければ亀と鶴の足の差で割った数だけ亀を鶴に!

 

 おわかりいただけたでしょうか。一首目から八首目までの語頭に続けて一首目から八首目までの語尾をつなげると、連作のタイトルである「半年間よろしくお願いいたします!」となります。私がかばんの会に入会したときに披露した連作です。かばんの会では、半年ごとに会費を納めます。少なくとも半年間は在籍することになるので、半年間よろしくお願いいたしますとしました。

ちなみに、狭義の折句は一首の短歌での隠し言葉ですが、広義の折句には、連作の短歌をはじめ、俳句、詩歌、スマホの縦読みなども含まれるようです。

 この連作のテーマは中学受験における算数の問題です。一首目は、紙を複数回折って一部を切り取った図形がどうなるかを問う図形の問題。とくに名前はつけられていないようです。二首から八首目までの問題には名前がつけられています。順に、年齢算、植木算、長椅子算、労働算、食塩水の問題、トンネル算、八首目はご存じ鶴亀算。これらの問題は、図形、比例、関数の取り扱いなど、微分、積分、数列、三角関数など中学、高校、さらには大学の数学につながるものです。意義のあることだと思いますが、これらの問題を小学生にさせることはいいことなのでしょうか。