発想が陳腐で言葉がありきたり何もなければ歌にはあらず
散りばめたあまたのキラーフレーズが焦点位置をあいまいにする
声にしてはじめてわかることがある大和言葉のふしぎなしらべ
能書きを垂れたらただの石になり垂れないならば時に宝石
すべからく文字を変換することが誤字を生み出すあまたの候補
イメージが動きまわってしまうから用いる動詞は三個以内
こんこんと降るのは雪でざあざあと降るのは雨だなんて平凡
浮いている言葉をつなぎとめる助詞小さな文字の大きな仕事
私は連作の折句をつくっていることから、言葉を埋めていくのに精一杯でありきたりの表現にとどまってしまいがちです。折句より前に、一首の短歌として成り立たなければいけないとは思っているものの、言うは易しでなかなか難しいです。短歌の本や歌会などで指摘されたことを集めてみました。
キラーフレーズは1つか2つ。多いと読者はおなか一杯になります。同じように動詞は3つ以内と言われます。キラーフレーズが多いと焦点がぼける、動詞が多いと焦点が動くという感じでしょうか。
パソコンで作歌することが多いので誤変換が起こることもあります。また、助詞が変わるだけで意味が異なることがあります。意味が変わってしまうのならまだしも、文法的な誤りがあると作品が台無しになるので、気を付けないといけないですよね。
短歌は文字どおり短い歌です。調べが大事。わかっているけど言葉遊びが好きだからどうしても調べは二の次になってしまいます。それでも仕上げに朗詠します。声に出してみないとわからないですからね。言葉がつかえたり言い間違えたりすると、他の言葉に置き換えたりしてみます。
かばんの会では出詠はメールで行います。出詠する際、他に表現はないか、言い間違いはないか、誤変換はないか。。。心配は尽きないです。最後は、世界で一番下手な短歌を発表するという気持ちでクリックを押します。
一首目から八首目までの最初の文字に続けて一首目から八首目までの最後の文字をつなげると、「はちこのすいこうするべきほいんと」となります。
初出かばん誌2023年7月号