イカの眼はヒトにも負けぬすぐれもの 抜け穴になる盲点はなし

恐竜の時代を生きたプテラノドン コウモリたちは皮膜をオマージュ

ものまねをしているのではなくヒトとオウムとはああ言えばこう言う

のし歩くウシが魚を追いかけて魚のごとく手に入れた鰭

カニでないヤドカリ族のタワラガニ ねじれた尾にみる二重の螺旋

テレパシーそれとも見えぬ波を聴き夜空も海も見えぬものなし

頭から足が生えている頭足類 頭の中身は類人猿

移ろいて生き物たちが別れても再び出会う収斂進化

 

 イカとヒトのレンズのような眼、プテラノドンとコウモリやムササビの皮膜、ヒトとオウムの話す能力、魚と鯨類などの鰭、カニとタワラガニの似た形態、イルカとコウモリの超音波を聴く能力、頭足類と類人猿の脳など、系統の離れた種が類似の形質を獲得することを収斂進化といいます。

 イカの眼はヒトと同じようなレンズを持っていて、無脊椎動物の中では最も視力がいいとされています。しかも、ヒトと違って視神経が網膜の内側にあり、ヒトのような盲点がありません。ただ、深海に生息することが多くて光量が少ないためか、ヒトのように色を認識することができずモノクロの世界を見ているのだそうです。

 プテラノドンは爬虫類の仲間である翼竜であり、中生代に生まれました。翼は皮膚と同じ組織である膜からできていて羽ばたく力はなく、翼を広げると十メートル近くになる大型でグライダーのように滑空していたようです。コウモリやムササビは、ともに哺乳類で翼は皮膚と同じ組織からなります。ムササビは滑空するだけですが、コウモリは鳥のように羽ばたくことができます。翼竜は鳥に生存競争で負けてしまったのでしょうか。現代でも、空は鳥類が支配しているので、滑空しかできないムササビやモモンガは言うに及ばず、羽ばたくことのできるコウモリも夜行性です。

 オウムなどの社会性のある鳥類はかなり会話ができるそうです。生まれたときから人に飼われた場合、オウムは言葉を覚えて人と会話ができたりもします。単なるオウム返しではないのですね。鳥類以外にも、イルカのような社会性のある動物は、かなり複雑なコミュニケーションをとっているようです。

 イルカなどの鯨類は牛の仲間ら進化したのだそうです。単に泳ぐだけなら、必ずしも鰭である必要はないように思われます。ウナギやウミヘビは体をくねくねとして進みます。イカは漏斗から海水を噴射します。船のスクリューでもいいのでは。それでも、鰭はイルカやクジラの鯨類の他、恐竜の時代に海を制覇した魚竜にもあり、多くの生物が採用していることから、鰭は生物が泳ぐための最適解なのかもしれません。

 タワラガニは見た目はカニそのものですが、ヤドカリの一種です。その証拠にお腹の中に、ヤドカリ時代の名残である捻じれた尾があります。もちろん、DNAレベルでもタワラガニはヤドカリの一種であることが証明されています。ちなみに、ヤドカリ族はカニに進化する傾向があるそうです。カニは生き物として最適解なのでしょうか。

 イルカやコウモリは、超音波を自ら発してその反響音をキャッチして周りの状況を把握します。イルカは海の中、コウモリは夜行性ということで、視覚による情報が得ることが難しいことから、このような能力を得たのでしょうか。海と空という全くことなる環境でも同じ能力を得たことは興味深いことです。

 頭足類は、その名のとおり、頭のすぐしたに足がある生物で、タコ、イカ、貝ががその仲間です。その中でも、タコは非常に知能が高く軟体類の霊長類と呼ばれています。類人猿、鳥類、鯨類などの社会性のある生物はコミュニケーション能力が高く、知能も高いと言われています。しかし、タコは単独で生活していいます。人がキャップ付きの瓶の中に餌を入れるのを観察して、タコは蓋を開けて餌を得ることができます。視覚から得た情報を処理する能力が高く、そのために知能を高めたのかもしれません。

 

参考にした資料

https://www.youtube.com/watch?v=sJx9O4a2QyI

https://www.brh.co.jp/research/formerlab/miyata/2005/post_000001.php】

 

最初の文字に続けて各歌の最後の文字をつなげると「いきものかてあうしゅうれんしんか」となります。

初出かばん2024年6月号一部改変