・メモ

芸術家岡本太郎氏の特集号。個人的には万博の太陽の塔、そして数々の壁画や造形物、彫刻の作者として、TVに登場する面白おじさんとして印象に残っている。本書を読んでみると彼の作風、ジャンル、思想は長年にわたって変遷してきたこ

とがわかる。

 

何故だかわからないが、60年代、70年代の文化人、音楽家、芸術家というのは左派の人間が多かったように思える。岡本太郎もその一派に与していたと言える。が、彼の場合単に左派で安住していたわけではなく、そもそも海外留学中に日本とは日本人とはと言う考えを突き詰めるうちに当時の日本の文化を毛嫌いするようになったのが、彼の反日のルーツである。

 

しかし他の人々との違いは留学中に学んだ文化人類学を武器に日本を突き詰めていった点だろうかと思う。その結果行き着いたのは土偶であって、縄文式の時代ということになる。太陽の塔に少し土偶の雰囲気があるのは、彼の行き着いた結論を如実に反映しているからだろう。

 

子供の頃にテレビで見た岡本太郎は

・大先生に一大プロジェクトを依頼したらとんでもないものを作ってしまい戸惑う大人たち

という印象だったが、中学生になると

・そうは言っても後世に残る偉大なモニュメントを作り上げた大先生

と変わっていったが、今の印象はまさに

・大先生に一大プロジェクトを依頼したらとんでもないものを作ってしまい戸惑う大人たち

だなw 

 

当時国家プロジェクトに参画することは左派からの猛反発をかったと思うがそれでもやり通したのは彼の芸術に対する信念だと思う。

 

[【総特集】岡本太郎/¥1,257]

[西口徹編集/河出書房新社(2003/5/30)]

[214p/4-309-97651-1]

[沖縄、シャーマン、東北、恐山、縄文土器、文化人類学、民俗学、万国博覧会、太陽の塔、岡本敏子、留学、反日本主義、左派、転向]

[KAWADE夢ムック][初店][0043]