・メモ

杉浦日向子を知ったのはNHKで放送していた「お江戸でござる」で江戸風俗についての語り部的役割だった。その知識の深さに驚かされるとともに愛らしい風貌なのに顔が常に悲しげな表情に切り替わることにちょっと違和感を覚えた。そのうちに病により若くして亡くなったことを知った。

 

本書を読んでみるとまるで江戸時代、その場に居合わせていて人々の生活を具に見ていたように錯覚させる江戸時代の知識に驚かされる。同時に亡くなった方に関する文章が悲しみというより懐かしさを感じさせるものが多い。

 

なんだか儚げな感じがするなと思っていたら、この人、若い頃から重病を患い常に死を意識しながら生き続けたことがわかる。日々悪化というか弱体化していく自分を見つめながら活動していたことを思うとなんだか切なくなる。

 

[杉浦日向子/¥1,430]

[西口徹他編集、杉浦日向子著/河出書房新社(2015/9/30)]

[235p/978-4-309-97955-7]

[江戸、漫画、幽霊、上方、吉本ばなな、百日紅、病気、荒俣宏、吉本ばなな、ポキポキ]

[文藝別冊][初店][0048]