1月25日(金)16:30
今回最後の試験、小論文。6年前の面接の時、教授からは論文としては課題の残るものだったとの指摘を今でも覚えている。それがあるので今回はキチッとした形で書き上げたいとの思いを胸に試験に臨んだ。
課題は正確には覚えていないが、社会学的課題に対しては客観的評価だけでなく主観的な評価も必要だという主張が題材になっていたと思う。第1問はそう考えられる理由を題材から挙げること、第2問は主観的評価と客観的評価が両方ある具体例を挙げることだったように思う。
読みながら解答を組み立てていく。第1問は題材を丁寧に読んで見つけていけば良い。問題は第2問だな。ただ小論文なので正解と言ったものはないはず。だとすると結論とそれに至る過程が書かれていればいいとの結論に達した。そこであれこれ考えた末、選んだのはカート・ヴォネガットの"breakfast of champions"のプロットだ。この小説における作者の立ち位置が独特だったことを思い出し、それを客観的立場と主観的な立場という観点で丁寧にまとめていこうと決めた。
解答用紙は下書きと提出用が配布されたが、下書きはしている余裕がないので直接提出用に記入していく。制限時間は60分、余裕はないが解答をまとめあげる時間としては十分だと思い、コツコツと記入していく。残り30分、論文の後半にかかったところで席の近くの受験生たちの答案用紙が目に入る。あれ、まだ下書き用紙に書いている。おいおい時間がなくなっちゃうぜなどと思ってみる。
残り20分、あれみんなまだ下書き用紙に書いている。なんでだろう?と思い自分の用紙を確認してみると、これが実は下書き用紙、他の受験生はみな提出用に直接記入していたのにこの段階で気付く。
あと20分しかない!結論が書けていない!
半ばパニックになりながら、なんとか冷静さを取り戻し10分で今まで書いたことを提出用に書き写し、残りの10分で結論部分をまとめあげ、なんとか解答を完了し、提出にこぎつけた。
提出後、業務が多忙を極めるため職場に向かう。乗り込んだ地下鉄そして京浜東北線の車中でいろいろ後悔の念が浮かんできた。小論文は提出できたが、ほとんど殴り書きであり、元々汚い文字がさらに汚くなった。これを採点者は読めるんだろうかと大きな不安が過ぎる。そもそも論理の展開は説得力があったんだろうかと内容についても不安が大きくなる。解答用紙さえ間違えていなければこんなことで悩むこともなかった。最後に大きな禍根を残したまま私の2度目の学士入学試験挑戦は終わった。
(続く)